2011/12/01

別冊図書館戦争2(有川浩)

【タイトル】別冊図書館戦争2
【著者名】有川浩
【発行年月日(初版)】
【登場人物の年齢層】
【概略】
【感想】別冊第二巻。


 正直シリーズのなかで1、2を争う面白さではないかと思う。話に引きずり込まれる感覚が普段よりも強かった。なにしろ今まで食えない女だった柴崎がこうも追い詰められていくとは。引きずり込まれてある意味当然である。



 今思えば、いずれ何らかのきっかけからこの二人はくっつくのだろうとは予想していただろうが、こうも穏やかでない、普通でない、ある意味情熱的な出来事になるとは。なかなかよい
【ランク】
【読書中メモの総覧】
【備考】

別冊図書館戦争1(有川浩)

【タイトル】別冊図書館
【著者名】有川浩
【発行年月日(初版)】
【登場人物の年齢層】
【概略】
【感想】シリーズ外伝。


 帯やあとがきなどにも書かれている通り、恋愛色全開で、しかも主人公である郁が『純粋培養』な人間なので、なかなかもどかしい、ある意味新鮮な物語が描かれている。


 今までの所々描かれる恋愛でちょうど良いバランスという感想だったので、こうも全開で来られるとあんまり……という感じに。まあそれでも十分楽しめたが。セックスシーンは余分だったかな。急にリアリティーが出てきてしまうし。


 番外編は2もあるそうなので早く借りるなりして読みたい。他の登場人物に焦点が当てられるそうだし。
【ランク】
【読書中メモの総覧】
【備考】

2011/11/03

図書館革命(有川浩)

【タイトル】図書館革命
【著者名】有川浩
【発行年月日(初版)】2007年11月30日
【登場人物の年齢層】
【概略】
【感想】シリーズ最終巻。


 この辺りになるとさすがにアニメでやってないエピソードだということが明確に分かるので、こちらもなかなか楽しく読んだ。(前巻くらいからそうだったが)

 緊迫した状況下でやっと郁と堂上がくっついたと。まあいままで微妙な立ち位置のまま来てしまったので、何らかのきっかけ待ちだなとは思っていたが。
【ランク】
【読書中メモの総覧】
【備考】

2011/10/22

図書館危機(有川浩)


【タイトル】図書館危機
【著者名】有川浩
【発行年月日(初版)】2007年03月05日
【登場人物の年齢層】
【概略】図書館は誰がために―王子様、ついに発覚!山猿ヒロイン大混乱!玄田のもとには揉め事相談、出るか伝家の宝刀・反則殺法!―そしてそして、山猿ヒロイン故郷へ帰る!?そこで郁を待ち受けていたものは!?終始喧嘩腰でシリーズ第3弾、またまた推参。
【感想】所々でなかなかクスリと笑わせてくれる。面白いに加えて、司令が勇退するとき、隊員が一列に並んで送り出すシーンは思わず潤んでしまった。
【ランク】
【読書中メモの総覧】
【備考】2011年10月21日に読み終えた。

2011/10/19

図書館戦争 図書館内乱(有川浩)


【タイトル】図書館戦争 図書館内乱
【著者名】有川浩
【発行年月日(初版)】
【登場人物の年齢層】
【概略】2019年(正化31年)。公序良俗を乱す表現を取り締まる『メディア良化法』が成立して30年。高校時代に出会った、図書隊員を名乗る“王子様”の姿を追い求め、行き過ぎた検閲から本を守るための組織・図書隊に入隊した、一人の女の子がいた。名は笠原郁。不器用ながらも、愚直に頑張るその情熱が認められ、エリート部隊・図書特殊部隊に配属されることになったが…!?番外編も収録した本と恋の極上エンタテインメント、スタート。
図書隊の中でも最も危険な任務を負う防衛隊員として、日々訓練に励む郁は、中澤毬江という耳の不自由な女の子と出会う。毬江は小さいころから面倒を見てもらっていた図書隊の教官・小牧に、密かな想いを寄せていた。そんな時、検閲機関である良化隊が、郁が勤務する図書館を襲撃、いわれのない罪で小牧を連行していく―かくして郁と図書隊の小牧奪還作戦が発動した!?書き下ろしも収録の本と恋のエンタテインメント第2弾。
【感想】文庫版がでたのて、いい機会なので借りて読んでみた。


 『図書館戦争』は昔ノイタミナで見たことがあり、ある程度の内容はうっすら覚えている。今回読んでみた限り、ほぼアニメと同じ感じ。というかアニメはなかなか忠実に再現しているなと思う。

 『内乱』での小牧こんな奴だったっけ?
【ランク】
【読書中メモの総覧】
【備考】2011年10月中旬

2011/10/09

僕は友達が少ない 7(平坂読、ブリキ)


【タイトル】僕は友達が少ない 7
【著者名】平坂読
【イラスト】ブリキ
【発行年月日(初版)】2011年09月21日
【登場人物の年齢層】中高校生
【概略】羽瀬川小鳩の誕生日パーティーも無事に(?)終わり、ふたたび学園祭に備えての活動を開始する隣人部のメンバーたち。紆余曲折の末、文化祭の出し物の内容は映画作りに決定し、脚本は夜空が担当することに。だが、やたらと小鷹との過去の関係を強調する夜空と他の女子部員たちとの間に不穏な空気が流れ始める。そんなおり、小鷹と星奈との間にも実は『特別な関係』があったことが発覚し、さらには隣人部のジョーカー、志熊理科までもが動き出す。大人気残念系ラブコメディ第7弾。リア充たちの祭典を前にして物語はついに佳境を迎える…かも。
【感想】まあ相変わらずといった軽さで一時間ちょっとで読み終えるのが可能である。

 カラーページを見ていると知らないキャラクターが二人登場しており、新キャラとわかって安心した。なんだが過去の話を忘れている傾向にあり、過去の出来事の中身が思い出せないことがちょくちょく出てきた。。

 主人公と理科になんやら怪しい過去があることが最初と最後で語られており、まだまだ続くのかと思うと微妙な気持ちである。ライトノベルなのでしょうがないが、あんまりダラダラ続き、間が空くと話を思い出せない事態が増えてきてしまう。困ったものだ。

 夜空が猫カフェでデレたり、盗作をして吊し上げられたりと、徐々に当初のキャラから逸脱しつつある。もうすぐアニメも始まることだし可能なら見るか。


 縦書きの小説で(´・ω・`)を一文字で組み込んでいるのはこの作品だけじゃね?と思うこの頃。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】
【備考】2011年10月01日に読み終えた

2011/09/27

失楽園 上・下(渡辺淳一)★


【タイトル】失楽園 上・下
【著者名】渡辺淳一
【発行年月日(初版)】2004年01月25日
【登場人物の年齢層】30代〜
【概略】突然閑職に追いやられた敏腕編集者・久木。失意にくれる彼の前に、夫との冷え切った関係を持て余す美しき人妻・凛子が現れる。まるで結ばれるのが宿命であるかのように、ふたりは激しい恋に落ちてしまう。その純粋なる想いを貫き通すため、ふたりは究極の愛の世界へと足を踏み入れる―。「人を愛する」ということは、どういうことなのか?男女の愛の極限を描き切った、渡辺文学の最高傑作。

家庭や社会からの孤立が深まっていくなか、それでも久木と凛子は逢瀬を重ねつづける。逢うごとに、体を重ねるごとに、ふたりの愛と性の密度は高まっていく。やがて訪れる「この愛もいずれは壊れるかもしれない」という不安と怖れ。ふたりの愛を永久不変のなかに閉じ込めるために、彼らが選んだ道はひとつしかなかった…。空前絶後のベストセラーとなった、至高の恋愛小説。
【感想】なんとなく名前を覚えていたので。

 端的に言ってしまえば男女の不倫話なのだが、そんな枠組みには到底収まらない中身である。この書で描かれてある男女の交わりは今まで読んだ本のなかでも特に官能的で、かといって卑猥な印象はない、もはや高尚な域である。

 深い味わいを知った二人が段々そこから抜け出せなくなるのは読んでいて複雑だ。登場人物と同じようにこのまま堕ちていくだろうと思う一方、何らかのきっかけで関係が崩れていくのもあり得る、一体どのようになるのかと思わずにはいられない。阿部定の話からの心中エンドだってあり得る。

 酔った凛子が妖しく久木の首を締める場面はなかなかの狂気を感じた。描かれている普段の様子とのギャップも相成ってなかなかの凄みを出している。

 登場人物の二人の会話は俗っぽさを感じさせない、どこか世間離れした印象を受ける。描かれている世界観も世間から隔離された場所が多い気がする。



 自分はごく一部の例外を除いて自殺は絶対悪だと考えていて、仮にも生命を与えられたのだからどんな形でも全うすべきと考えている人間である。

 など思う一方、この小説のようなこういった心中には非常に崇高で悪くないと感じる。自分は幸せの絶頂で、これからは下りしかないから幸せのうちに共に死ぬと思わせるような相手が果たして存在するのか疑問で、この点で二人を非常に羨ましく感じる。

 上巻を読んだ時点でこのような結末は少しは想像していたが、交わりあい共に達しながら逝くという一種のハッピーエンドは想像できなかった。だが、あえて、心中の引き金となった出来事を考えると、やはり主人公久木の怪文書による子会社への異動だと思う。この出来事によって……と考えてみたが、この出来事がなかったとしても心中という結末に変わりはなかったように思われる。

 Amazonの評価を見るとなかなか手厳しい評価が並ぶ。まあ何とも言えんな。
【ランク】7
【読書中メモの総覧】
【備考】2011年9月下旬に読み終えた。

2011/09/25

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(桜庭一樹)★


【タイトル】砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
【著者名】桜庭一樹
【発行年月日(初版)】2004年11月15日
【登場人物の年齢層】中学3年
【概略】大人になんてなりたくなかった。傲慢で、自分勝手な理屈を振りかざして、くだらない言い訳を繰り返す。そして、見え透いた安い論理で子供を丸め込もうとする。でも、早く大人になりたかった。自分はあまりにも弱く、みじめで戦う手段を持たなかった。このままでは、この小さな町で息が詰まって死んでしまうと分かっていた。実弾が、欲しかった。どこにも、行く場所がなく、そしてどこかへ逃げたいと思っていた。そんな13歳の二人の少女が出会った。山田なぎさ―片田舎に暮らし、早く卒業し、社会に出たいと思っているリアリスト。海野藻屑―自分のことを人魚だと言い張る少し不思議な転校生の女の子。二人は言葉を交わして、ともに同じ空気を吸い、思いをはせる。全ては生きるために、生き残っていくために―。これは、そんな二人の小さな小さな物語。渾身の青春暗黒ミステリー。

 扱っている内容は暗くシリアスなはずなのにそれほど強く感じさせない印象。妙に少女まんがチックのメルヘンなイラストも手伝ってそこまで読後に苦い印象は残らない。漫画版を以前どこかで読んでいてあらすじを大まかに知っているからだろうか、それとも耐性が付いたからか。

 読んだ後しばらくして、これは実はなかなかの名作ではないだろうかと思い始めたが、残念ながらそれからしばらく立って理由が思い出せない。主人公の優秀な成長物語としてだろうか。
【ランク】6.5+α
【読書中メモの総覧】
【備考】2011年09月下旬に読み終えた。再読を促す。

2011/09/16

たった一人の反乱(丸谷才一)

【タイトル】たった一人の反乱
【著者名】丸谷才一
【発行年月日(初版)】1972年4月20日
【登場人物の年齢層】
【概略】出向を拒否して通産省をとび出し民間会社に就職した馬淵英介は若いモデルと再婚する。殺人の刑期を終えた妻の祖母が同居し始めたことから、新家庭はとめどなく奇妙な方向へ傾き、ついに周囲の登場人物がそれぞれ勝手な「反乱」を企てるに到る。―現代的な都会の風俗を背景に、市民社会と個人の関係を知的ユーモアたっぷりに描いた現代の名作。谷崎潤一郎賞受賞。
【感想】朝日新聞夕刊にて。

 今から30年ほど前に書かれた作品であるが、古臭さは感じられず、むしろどこか洗練された印象を受ける、今まで読んだことの無いようなタイプの小説である。概略にも書かれてある通り知的で大人の読み物と言ったところである。正直上流階級の風雅な読み物で、特にこれといった感想はない。やたら長いな、ぐらい。まだ早かったかな。
【ランク】6+α
【読書中メモの総覧】引きずり込む訳ではなく、かといって突き放すわけでもない程好い雰囲気
【備考】201109月上旬に読み終えた。

2011/09/13

『上海富裕層の「快楽的生活」』



クーリエ・ジャポン 2011年9月号
『上海富裕層の「快楽的生活」』

上海のカリスマ作家、モデルの日本人や駐在員などの生活が紹介されている。

まるで日本のバブルのような印象を受ける。(実際に体験したわけではなく詳しくは知らないが)カリスマ作家の郭敬明に興味を持った。彼の著作『悲しみは逆流して河になる』を読んでみるか。

日本の異端文学(川村湊)


【タイトル】日本の異端文学
【著者名】川村湊
【発行年月日(初版)】2001年12月19日
【登場人物の年齢層】
【概略】「異端文学とは何か」という問いは、では、日本に「正統的な文学」があるのかという問いにつながる。「異端文学」とは、文学それ自身(の有用性や社会的評価)を白眼視する文学である。文学なんてそれほどのものかよ、という罰あたりな言葉を呟く「文学」の中の異端児である。本書は一九六〇年代から七〇年代にかけての「異端文学」ブームを社会史的、文学史的に整理し、渋沢龍彦、中井英夫、山田風太郎、小栗虫太郎、橘外男、国枝史郎、三角寛、中里介山『大菩薩峠』、渡辺温、尾崎翠、石塚喜久三、団鬼六等を読み解く。
【感想】図書館にてたまたま。

 タイトルに惹かれて読み始めたものの、なかなかだるく、自分の興味のある項目か読み始めるが、それでもだるい始末。完全に新書に慣れていない。


 が、SM文学として宇能鴻一郎の『肉の壁』、団鬼六の『花と蛇』。姉弟、兄妹に着目した渡辺温、尾崎翠。人外の物語を描く橘外男、日影丈吉などおそらくこの新書を読まなかったら知らなかったであろう面々を知ることができて良かった。しかしこれらの作家たちは60~70年代とかなり古く、果たして各々の作品を読了することが出来るのか疑問であるが。


 この新書はあとがきでも述べられているが、文学史的、また時系列的な整序がなく、著者の好みで各々の作家が語られているので、系統的や順序立って読むには不向きである。しかし『異端文学』へ入る入口、きっかけとしていい書物だったのではないかと思う。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】
【備考】2011年09月12日に読み終えた。

2011/08/31

機動戦士ガンダムUC 10 虹の彼方に(下)(福井晴敏)


【タイトル】機動戦士ガンダムUC 10 虹の彼方に(下)
【著者名】福井晴敏
【発行年月日(初版)】2009年08月26日
【登場人物の年齢層】
【概略】西暦最後の夜に産み落とされ、宇宙世紀百年の歴史を呪縛してきた『ラプラスの箱』。その真実が明かされた時、「シャアの再来」は自ら底暗い正体を現し、『箱』の封印を目論む者たちは大量破壊兵器の刃を抜いた。絶望的な状況下、“あるべき未来”を取り戻さんとする可能性の獣―ユニコーンが示した奇蹟の業とは…。未来を見失った今だからこそ読みたい、人の善意と可能性を問うSF文学の金字塔。ここに堂々完結。
【感想】完結。

 フル・フロンタルがシャアを真似て作られた強化人間という事実は思い付かなかった。確かにこれまでの行動からは人間味は感じられなかったが。

 すべてを消滅しようとするコロニーレーザーをニュータイプである主人公が食い止める。この構図はZのときから存在するが、隕石の落下すら防げるのだ、コロニーレーザーを受け止めるのも可能だろう。今さらその不合理さを突っ込んではいけない。同時にミネバの演説で物語が終わるのも納得できるが、個人的にはバナージとミネバのその後を書いてほしかった。

 このあと、F91、クロスボーン・バンガード、Vと宇宙世紀は続いていくが、話の展開的に連邦が劇的な変化を遂げた、とはほぼ考えられない。まあUCが一番新しいのだから、勝手に史実を変えることもできないし、仕方がないことだが。やはりその後を書いてほしかった。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】
【備考】2011年08月30日に読み終えた。

2011/08/29

機動戦士ガンダムUC 9 虹の彼方に(上)(福井晴敏)


【タイトル】機動戦士ガンダムUC 9 虹の彼方に(上)
【著者名】福井晴敏
【発行年月日(初版)】2009年08月26日
【登場人物の年齢層】
【概略】ついに『ラプラスの箱』の最終座標が示された。行く手に立ち塞がるネオ・ジオンの大艦隊と、すべての抹消を目論む地球連邦政府。一縷の可能性に賭けて、バナージは“ユニコーンガンダム”を駆り約束の地を目指す。その仮面に人類史の諦念を宿し、バナージの前に立ちはだかるシャアの再来=フル・フロンタルの正体とは?いま、最後の戦いの幕が上がる―。混迷する現代社会を照射する“大人のためのガンダム”、衝撃の最終章。
【感想】マリーダが死んだ。

 思い返してみると、過去の強化人間の中で生き残ったまま物語を終えた者は記憶になく、皆ことごとく戦死している。その事実を鑑みれば、この結末を予想できたかもしれないが、それにしても悲しいものである。死ぬときに関わりのあった面々にそれぞれのやり取りを残していくが、それのなんと悲しいことか。アルベルトとマリーダのやり取りがあまり以前からは想像できず、印象に残った。

 ワッツは味のある奴だったなあ。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】
【備考】2011年08月28日に読み終えた。

2011/08/27

機動戦士ガンダムUC 8 宇宙と惑星と(福井晴敏)


【タイトル】機動戦士ガンダムUC 宇宙と惑星と
【著者名】福井晴敏
【発行年月日(初版)】2009年04月25日
【登場人物の年齢層】
【概略】『ラプラスの箱』を巡る争奪戦は、連邦とネオ・ジオンという垣根を越えて運命の人々を集結させた。ザビ家の忘れ形見であるミネバの言葉によって、双方が協調しかけたと思えたその時、最悪の裏切りがバナージを襲う。これが現実―人の融和はありえないと断じる「シャアの再来」フル・フロンタルに対して、バナージが命がけで紡いだ返答は―。ベストセラー作家・福井晴敏が放つガンダム巨編第8弾、いよいよクライマックスへ。
【感想】ミネバの言動とそれに対するフル・フロンタルの問答は緊張があって良い。

 ミネバは公私の状態がはっきりわかり、人間味があるのに対し、フル・フロンタルの人間離れした超然とした雰囲気はなんなのだろうか。ジンネマンも述べていたが、この男は何物なのか。
終わりが近づくにつれますます結末が楽しみになってきた。

 そしてカイ・シデンである。このタイミングでジャーナリストとして再び出てくることは予想出来ず。またローナン議員に対して一本とるほどのキレのある洞察力と思考力を見せるこの男はZのときといいさすがである。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】信じさせて…は以前マーサが述べていた「男のプライドを飲み込む女」になっていないか
【備考】2011年08月25日に読み終えた。

2011/08/21

攻殻機動隊 眠り男の棺(藤咲淳一)


【タイトル】攻殻機動隊 眠り男の棺
【著者名】藤咲淳一
【発行年月日(初版)】2005年02月18日
【登場人物の年齢層】
【概略】人々の義体化、電脳化が進む2030年に、新浜で起きた“吸血鬼”連続殺人事件。その被害者の首には、ふたつの禍々しい傷跡が残されていた。“吸血鬼”のひとりと接触した公安9課の草薙素子は、少女の脳内にダイブ。その脳に残された記憶映像を手がかりに、事件の謎を追う。かつての大戦で水没した旧首都・東京に、ただひとりで潜入した素子を待ち受ける罠。一切の支援を断たれた“戦場”の地で、素子は何を見ることになるのか。大人気TVアニメーションの本編スタッフが描くオリジナル小説。待望の第3弾。
【感想】藤咲淳一による攻殻機動隊小説シリーズ第3弾。

 今回は素子の単独潜入ということで、いろいろ苦境に立たされながらもそれをもろともしない姿が描かれていてTVシリーズには無い新鮮さがあった。文体が紋切り型でハードボイルド小説を彷彿させる。(読んだことはほとんどないが)
【ランク】6+α
【読書中メモの総覧】
【備考】2011年08月20日に読み終えた。

2011/08/19

攻殻機動隊 虚夢回路(藤咲淳一)


【タイトル】攻殻機動隊 虚夢回路
【著者名】藤咲淳一
【発行年月日(初版)】2004年01月31日
【登場人物の年齢層】
【概略】西暦2030年。極度に人々の電脳化が進む中、電脳犯罪を未然に防ぐために設立された攻性の組織。それが「攻殻機動隊」こと公安9課だ。今、9課が相手にしているのは少年たちだった。ある日突然、世界への憎しみに駆られ、凶行に走る通称《目覚しテロリスト》たち。だが彼らは、なぜ自分がデロを行ったのか、事件後には覚えていない。捜査のため、一人の少年の電脳に侵入した草薙素子が体感する謎の記憶。少年たちをテロに導いた者の狙いとは…?大人気TVアニメの本編スタッフがオリジナル・ストーリーで贈るもうひとつの「攻殻S.A.C.」、登場。
【感想】図書館にて。

 今回は一つの長編物語が収録されているが、なかなかの戦闘シーンと最後まで続くハラハラドキドキだった。あんまり印象には残らないけど。

 今まで勘違いしていたのだけれど、電脳化したら程度に関わらず視界がパソコンのディスプレイのように表示され、そこで各器官の調節を視覚的に見える形ですると思っていた。どうやら電脳化しても調整は自分が思うことで行い、その調節は視覚的にはよく分からないようだ。例えば素子は通行人の個人情報がデータベースによって表示されるようだが(確かこのシリーズのどこかでも書かれてあった)
【ランク】5.5
【読書中メモの総覧】
【備考】2011年08月19日に読み終えた

2011/08/18

攻殻機動隊 凍える機械(藤咲淳一)


【タイトル】攻殻機動隊 凍える機械
【著者名】藤咲淳一
【発行年月日(初版)】2004年07月31日
【登場人物の年齢層】
【概略】西暦2030年。電脳化・義体化が進む一方で、癒されぬ人々の心の闇は、さらに凶悪な犯罪を呼ぶ。新人のトグサが招慰難民居住区で掴んだ暗殺計画。その標的は、なんと公安9課課長の荒巻大輔だった!黒幕の正体を暴くため、あえて暗殺者の前に我が身をさらす荒巻。そして草薙素子ら9課メンバーの前に現れる最強義体。その正体とは…。大人気アニメシリーズ『攻殻機動隊S.A.C.』の本編スタッフが書下しで描くオリジナルストーリー第2弾、中編「タチコマの恋」も収録して、ますます過激にヒートアップ。
【感想】図書館で偶然見つけて。

 SACとSAC2の間が時代設定となっている。攻殻機動隊の小説にしてはかなり読みやすく、一日で読み終えることが出来た。3つの物語が収録されているが、根は繋がっている。やっぱり攻殻は面白いな。
 『タチコマの恋』という短編が一番面白い。タチコマはやっぱさすがやな。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】
【備考】2011年08月17日に読み終えた

2011/08/15

機動戦士ガンダムUC 7 黒いユニコーン(福井晴敏)


【タイトル】機動戦士ガンダムUC 7 黒いユニコーン
【著者名】福井晴敏
【発行年月日(初版)】2008/12/26
【登場人物の年齢層】
【概略】虜囚となったバナージを乗せた戦艦「ラー・カイラム」が寄港したトリントン基地に積年の妄執を決死の志へと変えたジオン残党軍が襲いかかる。混乱の中、ブライト艦長の言葉を胸に再び「ユニコーン」に乗り込んだバナージは、目の前で再び連れ去られたミネバを奪還するため、ついに大空へと飛翔する!黒き「ユニコーン」との対決が待つ高高度の戦場で、バナージがつかんだものとは―!?ガンダムサーガ最新作。激情天駆ける第7巻。
【感想】一番良い作品。オードリーが脱出してバナージに受け止められる場面が最高である。加えてマリーダとジンネマンのやりとりなど、引きつけられる部分が多々ある。ジオン残党軍の襲撃からネェル・アーガマに引き上げられるまでの一連の流れはこのシリーズでもっともわくわくし、惹きつけられた。まあなんで敵に助けてるんだと一瞬訝しんだが、そこはまあいいだろう。

 「ユニコーンガンダムは伊達じゃない」には吹いた。徹底しているなあ。

 調べてみたらアンクシャやガスルKってUCオリジナルかい、なんか他の作品で出ているのかなあと思ったら。
【ランク】6.5
【読書中メモの総覧】
【備考】2011/08/04に読み終えた。

機動戦士ガンダムUC 6 重力の井戸の底で(福井晴敏)


【タイトル】機動戦士ガンダムUC 6 重力の井戸の底で
【著者名】福井晴敏
【発行年月日(初版)】2008/10/26
【登場人物の年齢層】
【概略】“ユニコーン”が示した次なる座標は地球連邦政府首都・ダカールだった。ラプラス・プログラムが示した地に“ユニコーン”を立たせるべく、イスラム系反政府勢力のダカール襲撃計画に協力するバナージたち。しかし積年の怨讐は、巨大MA“シャンブロ”が吐く炎となって暴走を始める。首都を飲み込む炎を前に、バナージが選び取った行動とは…!?かつてない一大スペクタクルに息を呑む、新・宇宙世紀神話第6弾。
【感想】強化人間が再強化されて以前の記憶を失い、主人公と戦うのはZのときから存在する展開だが、ついにマリーダがその強化されるべき対象となってしまった。再び元に戻るか途中で戦死してしまうか予想された展開は二つに一つだが、前者のような気がするし、前者であって欲しいなと思う。バナージの砂漠での云々は特に何もないです。キャプテンのような人間味あふれる人間は好きだ。

 リディ君はへたれライバルの道を順調にたどっております。

 アマゾンで概略を見るのだが、そのときについでに文庫版の方の表紙も見ているのだが、なんだかそっちの方が好きだな。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】
【備考】2011/08/04に読み終えた。

機動戦士ガンダムUC 5 ラプラスの亡霊(福井晴敏)

【タイトル】機動戦士ガンダムUC 5 ラプラスの亡霊
【著者名】福井晴敏
【発行年月日(初版)】2008/07/26
【登場人物の年齢層】
【概略】ユニコーンガンダムが導く座標でバナージを待っていたのは、かつての首相官邸「ラプラス」だった。福井晴敏が放つ宇宙世紀新章、第5弾!
【感想】アニメ以降の場面に突入した。地球での内容やガエルの登場、バナージの地球降下。

 ダグザのギャップに改めて惹き付けられた。普段機械のような行動、言動なので熱が入るとよりいっそう鮮明である。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】
【備考】

【料理】ビビンバ風焼き肉丼&オニオンスープ

【名称】ビビンバ風焼き肉丼&オニオンスープ
【調理方法】ビビンバ風焼き肉丼
http://erecipe.woman.excite.co.jp/detail/ada06d197da17223b2e5191a699df62c.html
オニオンスープhttp://cookpad.com/recipe/651758
【調理時間】30分
【感想】ビビンバ風焼き肉丼:焼き肉のたれで焼いた肉はおいしい。
焼き過ぎでおこげが焦げた。
フライパンから皿に移したため見た目がひどい。
卵焼きになってしまった。

オニオンスープ:安定。
【備考】2011年08月15日

2011/08/11

機動戦士ガンダムUC 4 パラオ攻略戦(福井晴敏)

【タイトル】機動戦士ガンダムUC 4 パラオ攻略戦
【著者名】福井晴敏
【発行年月日(初版)】2008/04/26
【登場人物の年齢層】全年齢
【概略】敵軍事拠点「パラオ」からガンダムを奪回せよ!
連れ去られたバナージとユニコーンガンダムを奪回すべく、ネオ・ジオン本拠地「パラオ」への決死の攻略戦が始まる! 福井晴敏が描く新・宇宙世紀ガンダム怒涛の第4弾!
【感想】アルベルトがビスト家の一員であることが示唆されている。アニメでは気付かなかった。てかあったかな?

 パラオ攻略戦の展開もアニメよりも分かりやすい。袖付きが上手く罠に嵌めたのがアニメではあまり伝わらなかったが
、小説ではよくわかる。マリーダの過去の経緯も鮮明である。そういえばバナージとマリーダが交錯したときにこの描写がでる展開だったかなアニメでは。

 こうしてみると結構アニメでの展開を忘れてしまっていることがよくわかる。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011/08/10に読み終えた。

2011/08/08

機動戦士ガンダムUC 3 赤い彗星(福井晴敏)


【タイトル】機動戦士ガンダムUC 3 赤い彗星
【著者名】福井晴敏
【発行年月日(初版)】2007年12月26日
【登場人物の年齢層】全年齢
【概略】スペースコロニー“インダストリアル7”を襲ったテロ事件から半日、バナージとオードリーは地球連邦軍の戦艦“ネェル・アーガマ”に収容されていた。両者に絡みつく『ラプラスの箱』を巡る様々な思惑。その最中、「シャアの再来」と呼ばれる男、フル・フロンタルが赤いモビルスーツで強襲をかける。通常の3倍のスピードで追い迫る敵を前に“ユニコーンガンダム”に勝機はあるのか―。ガンダム・サーガ最新作、白熱のシリーズ第3弾。
【感想】シャアの再来と呼ばれるフル・フロンタルが登場した。あきらかにファーストのシャアを意識しているであろう発言はアマゾンでも狙いすぎというコメントがなされてあったが、これぐらいがちょうど良いのではないかと思う。
 
 オードリーの人質となった場面での凛とした問答はやはりさすがだなと思う。
【ランク】5.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011年08月08日に読み終えた

2011/08/06

機動戦士ガンダムUC 2 ユニコーンの日(下)(福井晴敏)


【タイトル】機動戦士ガンダムUC ユニコーンの日(下)
【著者名】福井晴敏
【発行年月日(初版)】2007年09月26日
【登場人物の年齢層】全年齢
【概略】『袖付き』と呼ばれる反政府組織と、ビスト財団の間で行われていた『ラプラスの箱』を巡る謀議は、連邦軍の介入によって破局を迎えた。工業用コロニー“インダストリアル7”で始まる戦闘。オードリーを追って戦火の中を走るバナージは、純白のモビルスーツ“ユニコーン”と出会う。人の革新―ニュータイプの力が覚醒した時、“ユニコーン”はその真の姿を現した!文壇の気鋭・福井晴敏が描く新たなる宇宙世紀サーガ第2弾。
【感想】ユニコーンが起動し、クシャトリヤと対峙するところまできた。やはりアニメとは違う描写も見受けられるが。アニメを見たからまだ付いていけるが、アニメがまだ出ていないところになると付いていけるのか不安である。
【ランク】5.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011年08月06日に読み終えた

機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上)(福井晴敏)


【タイトル】機動戦士ガンダムUC
【著者名】福井晴敏
【発行年月日(初版)】2007/9/26
【登場人物の年齢層】全年齢
【概略】工業用コロニーに住む平凡な少年、バナージ・リンクスは、謎の少女オードリー・バーンを助けたことから『ラプラスの箱』を巡る事件に巻き込まれてゆく。宇宙世紀の開闢とともに生まれ、開放されれば連邦政府が転覆すると言われる『箱』の正体とは―。『逆襲のシャア』から3年後、宇宙世紀0096を舞台に、新たなるガンダムが世界に革新の予感を告げる。『亡国のイージス』『終戦のローレライ』の著者による人気小説が文庫化。
【感想】アニメを見て続きが気になったので。(OVAはまだ3話までしか出ていない)

 小説の分アニメでは描写出来なかった細かい部分、特に登場人物の心情などは詳しいが、逆に情景描写は読者の想像力に委ねる部分が多く、想像力に乏しい自分にとってはきつい。特にSFものはなかなか想像しにくいものがある。

 一部小説とアニメで展開が違う部分があったと思う。オードリーがマリーダに追われる場面が違うかったような。

 マリーダさんは神。
【ランク】5.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011/08/04に読み終えた。

2011/08/01

【料理】ネギ塩豚丼&味噌汁

【名称】ネギ塩豚丼&味噌汁
【調理方法】ネギ塩豚丼http://blogs.yahoo.co.jp/boooy2005/44316009.html#57178438
味噌汁http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1322330223
【調理時間】30分
【感想】普通。バラ肉を使った。
ネギを3分の2使ったのが多すぎた。もっとみじん切りにして細かくすべきだった。あとブラックペッパーをかけ忘れた。
味噌汁はパック丸ごと使ったのだがやや多かった。
【備考】2011年08月01日

2011/07/26

アダルト・エデュケーション(村山由佳)


【タイトル】アダルト・エデュケーション
【著者名】村山由佳
【発行年月日(初版)】2010年07月25日
【登場人物の年齢層】成年
【概略】誰かと重なり合いたいという、根源的な欲望を抱える12人の女性たち。心の奥底に、それぞれが願望を秘めている。密やかで強烈な性愛のファンタジーが現実になるとき、女たちは新しい自分を知る。純度の高い「もうひとりの自分」に出会った女たちの真の再生の物語。 渇いた体と心に染みいる長編連作小説。
【感想】BOOK・OFFでたまたま見つけて。

 以前読んだ「ダブル・ファンタジー」で、男女の情愛を描いたものが非常に強烈な印象を受け、今回もそんなノリで読んだが、あまり前回ほど印象を受けなかった。短編でリズムがあまり乗らないからだろうか。

 と、言うよりも前作と当てているスポットが違うからだろう。深く激しく飲み込まれるような関係を描いた前作に対し、今回は多様な関係を広く描き、淡々としたものから激しいものまで幅広く取り扱っている。前作と趣を変えたのが今回の印象の変化の理由だと思う。

 とは言いつつ、それでも惹き付けられるものもある。レズから犬まで幅広い短編のなかで、自らの性的ファンタジーを元患者のAV男優によって満たされる医者の話と、タトゥーを彫る女の話である。今回は購入したので、また気が向いたら読もう。


 それにしてもBOOK・OFFは不思議な所だ。当初はこれを800円くらいで見つけ、悩んだ末に保留し他のところを見ていたら105円のコーナーにあ
るではないか。よくこれで利益が生み出せるものだと感心した。

 Amazonの評価を見ると、割と好き嫌いが分かれているようだ。ちなみに「ダブル・ファンタジー」も好き嫌いが結構分かれている。こういうのを見ると面白いものだ。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011年07月26日

2011/07/23

華麗なる一族(山崎豊子)

  
【タイトル】華麗なる一族
【著者名】山崎豊子
【発行年月日(初版)】1980年5月25日初版(文庫版)
【登場人物の年齢層】全年齢
【概略】業界ランク第10位の阪神銀行頭取、万俵大介は、都市銀行再編の動きを前にして、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ、上位銀行の経営内容を極秘裏に入手、小が大を喰う企みを画策するが、その裏で、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平からの融資依頼をなぜか冷たく拒否する。不気味で巨大な権力機構「銀行」を徹底的に取材した力作。
 阪神特殊鋼の専務万俵鉄平は、米国企業からの増注契約をキャンセルされて危機に陥る。旧友である大同銀行の三雲頭取が多額の融資を了承してくれるが、その矢先、熱風炉が爆発するという事故が出来―。一方、万俵家の次女二子は、総理の縁戚と見合いをしながらも、鉄平の部下である一之瀬に惹かれていく。万俵家に同居する大介の愛人・高須相子が企む華麗な閨閥づくりの行方は…。
 万俵大介は、大同銀行の専務と結託して、鉄平の阪神特殊鋼が不渡手形を出し、倒産へと追いやらされるさ中、上位の大同銀行との合併をはかる。鉄平は、大同銀行の頭取を出し抜いた専務と父親大介の関係を知るに及び、丹波篠山で猟銃自殺をとげる。帝国ホテルで挙行された新銀行披露パーティの舞台裏では、新たな銀行再編成がはじまっていた―。聖域「銀行」に挑戦した熾烈な人間ドラマ。
【感想】図書館で目についたのがきっかけ。

 キムタク主演のドラマを昔見たので概略は大体覚えているが、それでもどんどん引き込まれる。細部やドラマではカットされたであろう部分を読むと新たな発見が出来て飽きない。が、やはり人間関係は複雑である。人間関係と言うよりも親族関係と言うべきであろう、正直この人物が誰の何に当たるのかが難しさ極まりない。また、昭和の時代を舞台としてるので、その当時の風景描写も又細かい。

 なんといっても著者の入念な取材が目に浮かぶ文章である。こういう小説を読んでいると小説家に対する畏怖と尊敬の気持ちが出てくる。

 本筋からそれるが、文庫版の裏表紙のあらすじはかなりネタバレ度がひどい。まああらすじと考えれば適切であろうが、ふと読んでしまうとストーリーを知らない人にとっては楽しみが減ってしまうだろう。もっと中身が読みたくなるような物を書けないものかと。
【ランク】6.5
【読書中メモの総覧】上 話の概略はドラマにより知っているがそれでも退屈させない やはり複雑

中 人間関係が難解 徐々に追い詰められていく鉄平だが、なぜ父親と確執があるのか解せぬ姿が哀れ
【備考】2011/07/23に読み終えた。

2011/07/19

【料理】カルボナーラ&オニオンスープ


【名称】カルボナーラ&オニオンスープ
【調理方法】カルボナーラ
オニオンスープ
【調理時間】1時間くらい
【感想】重い。カルボナーラの最後の方がかなりきつい。

 カルボナーラは4人分作ったため、フライパンに一杯一杯積み込まれて混ぜるのが困難になってしまった。くわえてなぜかご飯を炊いてしまったため、かなりヘビーな食事となった。スライスチーズをもう少し加えるべきだった。

 オニオンスープはたまねぎがもっとどろどろになってればいい感じであった。
【備考】

2011/07/16

僕は友達が少ない6(平坂読、ブリキ)


【タイトル】僕は友達が少ない6
【著者名】平坂読
【イラスト】ブリキ
【発行年月日(初版)】2011年05月25日
【登場人物の年齢層】高校生
【概略】理科の発明品がきっかけで、夜空と小鷹の秘密が他の部員たちにもバレてしまった。『元友達』という(友達がいない人にとっては)極めて特別な関係を前にして、隣人部の人間関係にも変化が…!?一方そのころ、学園の他の生徒たちは一ヶ月後に迫った学校生活最大のイベント、学園祭に向けて盛り上がっていた。いつかリア充になったときのため、隣人部も学園祭に向けて動き出―そうとするのだが…。例によって迷走を繰り広げる彼らは、果たして学園祭を成功させることができるのか!?青春ラブコメ第六弾。ドラマCD付き特装版。
【感想】相変わらず。1時間ほどで読み終えた。

 最後のドラマCDを文章化したのはいらない。ページ数を稼ぐな。「紅」を彷彿させるような糞さであるが、ドラマCDはなかなかのものである。
【ランク】5.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011年07月に読み終えた。

2011/07/14

ティファニーで朝食を(トルーマン・カポーティ、龍口直太郎訳)


【タイトル】ティファニーで朝食を
【著者名】トルーマン・カポーティ
【訳者名】龍口直太郎
【発行年月日(初版)】1968年7月
【感想】 図書館にて名前が記憶にあったので。

 自由で奔放な女を描いた物語である。
今で言う「セックスアンドザシティ」的なイメージの女性であるが(見たことはない)、書かれた時代が50年代とほぼ想像できない状況下であるので、おそらく当時の人にとっては新鮮な印象なのだろう。正直当時の社会がわからない人間にとっては只の奔放な女性による物語というだけであり、十二分に楽しめていない気がする。

 てか訳注多すぎな印象。

 村上春樹氏が新薬を出しているようなので気化器があったら読んでみたい。Amazonのレビューによるとこの訳は支離滅裂な箇所がいくつかあるようだし。
【ランク】5.5
【備考】2011年07月に読み終えた。

2011/07/09

「隠し撮りビデオ」で社会問題を引き起こす若きメディアゲリラ

クーリエジャポン2011年6月号より。

最初の方は隠し撮りと言うやや邪道な方法ながらも不正を告発しているだけかなーと思ったが、よくよく読んでみると隠し撮りビデオも自分の都合のいいように編集をしていると言う、ただの悪党じゃないか!かなり憤りを覚えた。一体何がしたいのだ。

2011/06/19

Pen6/15号

   
Pen6/15号より。

初めて購入してみたが、正直面白い記事が少なかった印象である。しかしこの記事は面白い。こういった広告を記事として取り上げられると非常に興味深い。「広告批評」も一度読んでみたい。

2番目の広告が一番良い。こういう毅然とした馬鹿な感じは好きである。

3,4の広告はインパクトが強い。思うに日本の環境保護啓発を謳う広告はすべてありきたりな印象がするような気も。だからACの砂浜のCMのインパクトがすごい残っているのだ。

WIRED


今月創刊した「WIRED」という雑誌

テクノロジー系雑誌を読む機会はほとんどなく、すごい新鮮である。まだ半分も読めていないが、なかなか読めば面白そうな記事が並んでいる。ただ字が小さく、やや読みづらい。

この雑誌を買おうと思ったポイントは「触り心地」である。表面がプラスチック加工してあるのか、すべすべして気持ちいい。これは現物がないとなかなか残せないものである。

2011/06/17

凍りのくじら(辻村深月)


【タイトル】凍りのクジラ
【著者名】辻村深月
【発行年月日(初版)】2005年11月
【登場人物の年齢層】
【概略】藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う一人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき―。
【感想】朝日新聞の書評欄より。

 微妙。書評に惹かれて久しぶりに本を購入してみたが、そこまでする必要は無かった。ドラえもんの話と絡めるのは斬新だなあと思ったが。主人公の性格のクールさに惹かれて購入したが、微妙。展開が、微妙。特につまらない訳でもないが、また読みたいとも思わない、まさしく微妙である。結局別所とか言う青年はなんなんやねん。いくや?の変貌振りも甚だしい。特に共感も産まず、感動もなく、驚きもない。あるのは「やっと読み終わったか」という印象だけ。

 解説も冗長すぎて読む気起きない。

 Amazonのレビューを読んでていておもしろかったもを引用する。
自分の頭が良すぎて馬鹿な友達とでは同レベルの会話ができない‥と言ってしまう主人公の性格があまりにもイタすぎです。
仮に本当に頭が良いのならそれなりのエピソードがあっても良いと思うのだが、
話す内容はドラえもんの話ばかり、またルックスだけが取り柄の元彼氏を引きずっているのを理屈を付けて正当化しようとばかりしているただの女子高生。
そんな恥ずかしいほど中二病の主人公が自分の勘違いに気付き成長していく話か、もしくは読者がド肝を抜かれるオチが待っているのかと願って一応最後まで読みましたが、
主要登場人物がシリアス場面で「キミは頭が良過ぎて孤独なんだね‥」なんて本気で言ってしまっているからこの作者何がしたいのかわからない。
私が素直に感じたのは、主人公が中二病なのではなく小説自体が中二病だということです。
作家名と年齢からして中二病のニオイがしましたがやはり‥。残念です。
この著者の作品は初めてでしたが文章力もオチも普通。人には薦められませんが暇つぶし程度には読めます。
ドラえもんの道具の取り入れ方や、少しナントカと遊ぶ方法など、モチーフ自体は良いと思いますのであとは作者が中二病から抜け出すことに期待です。
ケータイ小説なんぞよりは俄然ましだったので星2つです。
高校生あたりには共感できたり、読みやすいのではないでしょうか。 By masu

 そこまで中二病と言うほどでもないが、読んでいて少し吹いた。「この著者の作品は初めてでしたが文章力もオチも普通。人には薦められませんが暇つぶし程度には読めます。」この部分は完全に同意。

 よくよく考えてみるとこの作品が紹介されていた朝日新聞の項目は「売れてる本」だったな。あんまりこの項目を参考にしすぎるのはやめよう。
【ランク】5.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011年06月17日に読み終えた。

私を離さないで(カズオ・イシグロ、土屋政雄訳)


【タイトル】私を離さないで
【著者名】カズオ・イシグロ
【訳者名】土屋政雄
【発行年月日(初版)】2005年4月
【登場人物の年齢層】子供〜大人
【概略】『日の名残り』『私たちが孤児だったころ』で高い評価を得た作家が送る、感動的な小説。心に残る友情と愛の物語の中で、世界と時間を巧みに再創造してみせる。
 現在31歳のキャシーは、イギリスの美しい田園地方ヘールシャムの私立学校で、子ども時代を過ごした。そこでは子どもたちは外界から保護され、自分たちは特別な子どもで、自分たちの幸せは自身だけでなく、やがて一員となる社会にも、非常に重要だと教えられていた。キャシーはこの牧歌的な過去とはずいぶん昔に決別したが、ヘールシャム時代の友人二人と再会して、記憶に身をまかせることにする。
 ルースとの交友が再燃し、思春期にトミーに熱を上げた思いが恋へと深まりはじめる中、キャシーはヘールシャムでの年月を思い返す。外界から隔絶された穏やかさと心地よさの中、少年少女がともに成長する幸せな場面を、彼女は描写する。だが、描写はそんな場面だけではない。ヘールシャルムの少年少女育成のうわべに隠れた、暗い秘密を示唆する不調和や誤解。過去を振り返ってはじめて、3人は自分たちの子ども時代と現在の生き方の真実が見え、それに対峙せざるを得なくなる。
 『Never Let Me Go』は単純に見える物語だが、そこに徐々にあらわにされていくのは、驚くべき深さで共鳴する感情だ。カズオ・イシグロの最高作にあげられるだろう。
【感想】「日の名残り」から派生して。

 正直「日の名残り」の方が良かった。話が進むに連れて非現実的な世界が展開されていることが分かるが、そのことが意識の中にありすぎたせいだろうか、なかなか話に乗ることが出来なかった。全体的に冗長で、どの展開でもかすかな退屈しかない。「日の名残り」では丁寧な文体がいい感じにマッチしたのだが、この作品はあまり肌に合わないようだ。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011年06月14日に読み終えた。

2011/06/05

ダリ シュルレアリスムを越えて(ジャン=ルイ・ガイユマン、伊藤俊治監修、遠藤ゆかり訳)

 独自の表現方法を用いて、悪夢のような非現実的世界を描きだした画家、サルバドール・ダリ。20世紀美術界最大の奇才の芸術と生涯を、貴重な写真や多数の作品とともに辿ります。(「MARCデータベース」より)


 難易度高すぎワロタ。語句が意味わからん。一通して読む気すら起きない、というか読めない。おもしろくない。なんでこんなに専門的な語句を使ってるの?って感じである。もっと優しくしてくれよ。

 シュールレアリスムやダリに興味があって手に取ってみたがハードルが高すぎたようだ。

2011/06/03

日の名残り(カズオ・イシグロ、土屋政雄訳)★


【タイトル】日の名残り
【著者名】カズオ・イシグロ
【訳者名】土屋政雄
【発行年月日(初版)】1990年07月07日
【登場人物の年齢層】老人
【概略】品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々―過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。(「BOOKデータベース」より)
【感想】村上春樹「雑文集」より。カズオ・イシグロは雑文集で取り上げられて非常に興味が湧き、またニューズウィークの「世界が尊敬する日本人25」に選ばれていることもあり、図書館にあったので手に取ってみた。(カズオ・イシグロは英国籍をとっており、また5歳で英国に移ったので果たして日本人なのかという疑問は少しある

 帯に「ノスタルジーと諦観が美しい田園風景に溶けこみ、静かな感動を呼びおこす」と紹介されているが、まさしくその通りである。最初は「こうした淡々とした展開がつづくのかな」と思ったが、だんだんこのなかにも郷愁、しみじみとした趣が滲み出ている。こうした絵に描いたような英国執事などいるのかと疑ってしまうが、光景を想像(妄想)するだけでもほのぼのと楽しい。この回想する主人公も完璧ではなく、どこか鈍感な感じがいい。

 名前に引きずられている感があるかもしれないが、訳された文章にはほとんど違和感がない、日本語で文章を書いているのか?と思わせるほどである。翻訳文章にありがちな雰囲気がほぼないといって良い。

 
【ランク】7
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011年06月03日に読み終えた。

2011/06/02

GOTH 漫画版(乙一、大岩ケンヂ)

   
 GOTH漫画版。古本屋で見かけて、立ち読みしたらつい読破してしまった。

 小説版は以前に読んだことがあるが、やはりそのときも思ったと思うがこの作品は面白い、そして最後のミステリーで混乱する。小説のときの自分と全く変わっていなかった。最後の部分は明らかに小説と違っているが、残念ながら他の差異は見つけられなかった。一人称くらいかなあ。小説板に走らない話があると述べられているが、そうだったっけ?

 裏表紙が美しい。画像だと正直美しさが伝わらないが。ふとカバーをめくってこの絵を見つけたときの驚きは表しがたいものだ。

 やはりというべきか、漫画は小説とは違ったインパクトを与える。どちらが良いというわけではない。小説には具体的なイメージが与えられず、想像力に依存するからこその怖さがあり、漫画は視覚的な怖さがある。残念ながら小説板の感想が適当すぎて当時の感想を完全に思い出すことができないが、おそらく違うだろう。切り刻まれた猟奇的な死体が実際に絵になるのは、怖さはないけれど何となくすごい。あまり関係ないが「土」の短編での中表紙である森野の縛られたSMチックな絵はかなり印象に残った。眺めていて悪くない。

 あとがきで乙一は「……ところでこの作品のコンセプトは、『毎回、登場するいろんな妖怪がヒロインを襲い、それを主人公がひそかに救出する』というまったく単純なものだった。……僕は異常者の内面を書きたいなどとは思わなかったし、異常な殺人を書きたいという気持ちもなかった。僕の念頭にあったのは、ともかく読者をおもしろがらせようという気持ちだけだった。……」と述べている。……マジですか。正直乙一はこういう作品ばっか書く人だと思っていた。この一冊だけしか読んでいないので完全にこれのイメージに捕らわれてしまっているが、もし書いてあることが字面の通りだったらなんか少し残念である。特に積極的にミステリーを読もうという気持ちもわかないので、しばらく乙一作品に触れる機会もなくなってしまうだろう。

 ウィキペディアで調べてみると小説には「犬」という短編があったそうだ。まったく記憶にないが、確かによく考えてみたら漫画版は短編の数が少ないように思える。読み返したくなってきたな。

2011/05/23

非国民(森巣博)


【タイトル】非国民
【著者名】森巣博
【発行年月日(初版)】2003年04月15日初版
【登場人物の年齢層】高校生〜
【概略】『ハーフウエイ・ハウス・希望』―中野にある「薬物依存」からの“悔悛を志す者”たちが共同生活をおくる施設である。少年院帰りの亮太、輪姦された忌わしき過去を持つ少女バイク、オーストラリア美人の大学院生メグ、元ヤクザのスワード、元大手証券幹部の鯨。非国民で不道徳の個性豊かな面々は「強制」と「義務」のない日々を過ごし、次第に本当の「更正」に目覚めていく。しかし施設の運営費に困窮し、汚職と賭博と恥辱にまみれた最悪の警察官たちを相手に一世一代の大勝負を挑むのだが…。
【感想】図書館にて適当に。


 森巣博といえばクーリエ・ジャポンで好き放題にお上・権力批判しているというイメージが定着しているが、この本でも(小説なのだが)似たような口調で権力風刺を行う場面が多々見られた。真面目かネタかわからない中途半端な感じ。最後に参考文献を載せるほどなのだが、所々ふざけた口調が混ざってあり、どっち付かずという印象。まあそれでもなおバカラのシーンは惹かせるものだ。一度是非「絞り」を体験してみたいが、現実カジノに行く機会もないしなあ。


 最後の勝負はバカラにしてほしかった。今までずっとバカラだったのに、数字の大きい方が勝ちという単純なものにしたのか、残念。


 カジノとカシノの違いはなんなのだろうか。カシノというトランプゲームが存在することをWikipediaで知ったが。
【ランク】5.5+α
【読書中メモの総覧】クーリエと同じ語調、「お上」への皮肉、批判
博奕がしたい、バカラがしたい
【備考】2011年05月18日に読み終えた。

2011/05/16

星を継ぐもの(ジェイムズ・P・ホーガン、池 央耿訳)


【タイトル】星を継ぐもの
【著者名】ジェイムズ・P・ホーガン
【訳者名】池 央耿
【発行年月日(初版)】1980/05/13
【登場人物の年齢層】成年
【概略】月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作。
【感想】 おそらくダヴィンチより。


 今まで読んだSF作品のなかで記憶に残っているのは筒井康隆の「時をかける少女」とケン・グリムウッドの「リプレイ」の2作品だけである。しかし両者とも亜流というのか、そこまで、いやあまりSFっぽくなかった印象がある。

 それらに比べてこの作品は半端なく強烈である。おそらく本格SF小説に分類されるであろう、それほどSF色が濃い。未来を舞台に、持て余すことなく山盛り設定という感じで、緻密な世界観が形成されている。

 正直なところ、完全に理解できた印象はない。所々「あれ、そうだったっけ」があったし、この本のストーリー展開における面白さを余すことなく堪能できたとは言い難い。きっと噛み締めて読めばもっと面白かったのだろうが、残念ながらお腹一杯である。

 月で発見された人間に酷似した生命体の謎を探るうちに人類との起源とも関わってくる、という話だが、言い訳だが、新たに設定された名前に混乱してしまって、スラスラ読めないことが、面白さを妨げているような気がするのである。慣れていないからしょうがないかもしれないが……話の後半に登場したガニメデという月の生命体の以前の話がメインの続編があるらしいが、あんまり読む気は起きない。
【ランク】5.5+α
【読書中メモの総覧】綿密に作られた世界
【備考】2011年5月13日に読み終えた。

2011/05/07

花宵道中(宮木あや子)


【タイトル】花宵道中
【著者名】宮木あや子
【発行年月日(初版)】2007/02/20
【登場人物の年齢層】成年
【概略】吉原の遊女・朝霧は、特別に美しくはないけれど、持ち前の愛嬌と身体の“ある特徴”のおかげでそこそこの人気者。決して幸せではないがさしたる不幸もなく、あと数年で年季を終えて吉原を出て行くはずだった。その男に出会うまでは…生まれて初めて男を愛した朝霧の悲恋を描く受賞作ほか、遊女たちの叶わぬ恋を綴った官能純愛絵巻。第5回R‐18文学賞大賞&読者賞ダブル受賞の大型新人が放つ、驚愕のデビュー作。(「BOOKデータベース」より)
【感想】図書館で見かけて。

 宮木あや子の作品は「春狂い」(このときの感想ひどすぎるなあ)を読んで強烈な印象を覚えた記憶があるが、前と同じように各短編がかなり深く関連している。そして、そこで描かれる登場人物、特に女郎はどれも個性がある。職業柄当然だが、平凡、地味、印象薄い者はいない。各人それぞれの吉原での生活はそれぞれの特徴があって面白い。


 この作品は著者の処女作であり、しかも最初の短編が「女による女のためのR-18文学賞」とやらの大賞と読者賞のダブル受賞しているだけあって、強烈な色恋沙汰と官能表現である。この人の官能表現は徹底した淫らさという印象を受けるほどだ。加えて情熱的でロマンティックである。それはこの作品と前読んだ作品と一貫している。


 てか漫画化してるのか!機会があったら是非読んでみたいと思う。
【ランク】6.5+α
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011/05/07に読み終えた。

2011/05/01

色彩の息子(山田詠美)


【タイトル】色彩の息子
【著者名】山田詠美
【発行年月日(初版)】1991年04月20日
【登場人物の年齢層】多岐
【概略】さまざまな色にたくされた愛を求める心の裏側にぴったりと寄り添うような深い闇。その闇を憎みつつその深さに酔わずにはいられない“私”たち…。しっとりとぼくの体にまとわり付く、声の血―赤。とろりとしたヴァセリンの塊をすくう彼の指―黄。心に刻み込まれてしまった黒子―黒。朝陽に輝く蜘蛛の糸の指輪―銀…それぞれの色から、孤独、愛への渇望、絶望と憎悪、そして再生が立ち上がってくる異色短編集。(BOOKデータベースより)
【感想】ダヴィンチより。

 自分の読む山田詠美作品はだいたい男と女の関わりについて書かれた短編集という形式で、これも同じ形式であるが、山田作品を久しぶりに読むからかやはり安定した印象である。ただこの作品は男と女に限定しているわけではなく、母と息子、また男と男なんてものもある。

 あとがきにも述べられているが、各々の短編でそれぞれ一つずつ色がテーマになっており、それぞれその色のカラーページが挟まれている。例えば親友の彼女を寝取り、紫色の痣をつけ、それをその美しさを親友に伝える「高貴なしみ」では、紫色のカラーページがあり、またほくろを忌む女が主人公の「黒子の刻印」では黒のカラーページ、といった感じである。こういった試みは初めて見るもので、とても新鮮であった。


 「高貴なしみ」と言う短編が一番印象に残った。主人公と彼女の共犯を知らされた時の親友の表情が痛快である。こういう主人公は本当に羨ましい。
【ランク】6.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011年04月30日に読み終えた。

2011/04/28

砂漠(伊坂幸太郎)


【タイトル】砂漠
【著者名】伊坂幸太郎
【発行年月日(初版)】
【登場人物の年齢層】大学生
【概略】「大学の一年間なんてあっという間だ」入学、一人暮らし、新しい友人、麻雀、合コン…。学生生活を楽しむ五人の大学生が、社会という“砂漠”に囲まれた“オアシス”で超能力に遭遇し、不穏な犯罪者に翻弄され、まばたきする間に過ぎゆく日々を送っていく。パワーみなぎる、誰も知らない青春小説。(「BOOK」データベースより)
【感想】友人より。


 麻雀の話が登場すると聞いて割りと楽しみだながら読んでいたが、こういう風に麻雀を小説に登場させる発想はなかったので楽しめた。もちろん麻雀の話がメインではないが、麻雀をきっかけに登場人物の交流が始まったというのは羨ましいものである。


 しかし雀鬼の話が出てくるとは思わなかったし、参考文献に「科学する麻雀」の名が連ねるとも思わなかった。主人公の麻雀のスタイルはここから来ているのかと思うとなんか心躍る気持ちである。


 こういった比較的ライトなエンタメ小説は重たいものを読んでいるときの息抜きにちょうどいい。今ちょうど「海辺のカフカ」を読んでいるが、友人がいいタイミングで貸してくれたと思う。朝の電車でもこういった小説は眠くならずに読めるのでいいものである。(「海辺のカフカ」はこの点で劣る)井坂作品はこれで3作品目だが、こういった小説を今後も読みたいなと思う。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011/04/27に読み終えた。