2010/10/31

ヤンデレ大全


【タイトル】ヤンデレ大全
【著者名】ー
【発行年月日(初版)】2007/8/29
【登場人物の年齢層】ー
【概略】「ツンデレ大全」に続く、好評の美少女ゲーム・キャラクタームックの第6弾「ヤンデレ大全」が登場! 最近話題の「ヤンデレ」キャラクターを徹底的に紹介する本です。もうお馴染みの熱過ぎる執筆陣が、美少女ゲーム、コミック、ライトノベルなどのヤンデレキャラを語り尽くします。
「ヤンデレ」を多角的に解釈したオリジナルイラストも満載! しかもこの本、最終的にコンテンツ量が増えすぎたため、急遽増ページとなった128ページのお得な完全保存版です。もちろん体験版&デモムービー満載のDVD-ROMが付属! 衝撃的な表紙イラストは、ぜひ実物でご堪能ください!
【感想】友人より。


 タイトル通り「ヤンデレ」大全である。「ヤンデレ」というキーワードの意味は、「ヤンデレの大意は『病み+デレ』の合成語が『病んでる』とのかけ言葉になっていると考えればわかりやすい。……辞書的に定義するなら、『ある対象に対して社会通念上から病的と見なされるほど深い情念や執着を抱え込み、それを原動力にして過激な求愛・排他・自虐・他傷など極端で異常な言動に駆られるキャラクター、もしくはその状態』ということである。」と書かれてある。今まで耳にしたことはあったものの、詳しく理解はしていなかったので、よくわかった。――しかしよくもまあここまでまとめることができたな、という印象である。俗にサブカルチャーに分類されるジャンルだと思うが、ここまで詳しいと結構読みごたえがあるし、面白い。


 ネット上で産まれたツンデレの派生である概念の一角がここまで(サブカルチャー界のなかで)一般的になるとは考えた人も創造し得なかったのではないのだろうか。――そうかんがえると言語というのは面白いものだと思う。性質を名付けることで認識しジャンルを形成するまでに至るというわけである。そして、過去に創られた作品(森鴎外の小説など)や、海外の作品に「実はこれはヤンデレだった」としてそれぞれカテゴライズされる。これこそ現代文の授業で取り上げられた表現を通して物事を認識する……と思ってノートを見返したが思っていたのと少々違った。よくわからんな。


 ただ、「GUNSRINGER GIRL」に登場するヘンリエッタがヤンデレとして紹介されていたのには違和感を覚える。このテキストを書いた人が「GUNSRINGER GIRL」の何巻まで読んで書いたかわからないが上記にあげた定義には含まれないと感じた。まあ広義には含まれるのかな。


 本中に紹介されていた「永遠のフローズンチョコレート」と「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」に興味が沸きリブロ本店に行ったが、片方が在庫なしで片方が10巻ぐらいあるシリーズもので萎えた。残念。
【ランク】ー
【読書中メモの総覧】ー
【備考】2007年10月05日に読み終えた。

2010/10/24

悲しみよ こんにちは(フランソワーズ・サガン、朝吹登水子訳)


【タイトル】悲しみよ こんにちは
【著者名】フランソワーズ・サガン
【訳者名】朝吹登水子
【発行年月日(初版)】
1928年6月25日、1955年6月改版
【登場人物の年齢層】17、その他
【概略】若く美貌の父親の再婚を父の愛人と自分の恋人を使って妨害し、聡明で魅力的な相手の女性を死に追いやるセシル……。太陽がきらめく、美しい南仏の海岸を舞台に、青春期特有の残酷さをもつ少女の感傷にみちた好奇心、愛情の独占欲、完璧なものへの反撥などの微妙な心理を描く。発表と同時に全世界でベストセラーとなり、文壇に輝かしいデビューを飾ったサガンの処女作である。(出版社 / 著者からの内容紹介)
【感想】図書館で偶然見つけたのがきっかけ。


 読み始める前は悲劇的な結末を迎えるやや有名な古典というイメージがあったが、実際読み終えると古典的な読みにくさはあまり、というかほとんど感じなかった。さらに、これが著者のサガンが18の時に書いたのを知ってやや驚いた。18でこれほど繊細で表現溢れる文章が書けるものなのか。主人公が非常にサガンが書いたときの年齢と近いということを踏まえても、である。実際に文章に書き起こすのはとても難しいと思う。さすがベストセラーたる所以である。主人公のセシルと恋人のシリルとの恋愛表現がとてもみずみずしいなというのが一番印象に残った。


 最近別の人により新訳されているそうだ。新訳の方がこの朝吹訳よりも読みやすいとのレビューを見たので、気が向いたら読んでみたい。(新訳)
【ランク】6.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010年10月23日に読み終えた。

2010/10/21

世界の構造を把握するには歴史を統計的視点で見ればいい(J・ダイアモンド)

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 クーリエ・ジャポン2010年10月号より。


 この記事を書いたJ・ダイアモンドは「銃・病原菌・鉄」を著わしており、これが朝日新聞の「ゼロ年代の50冊」というテーマで一位を獲得したのを以前新聞で読んだこともあって興味から読んでみた。


  歴史学の新しい形を提唱していて、歴史学では今まで用いられてこなかった自然実験や統計学の手法をもっと取り入れろ、的な感じである。


 この記事を読む限り、歴史と数学の融合体という形もなかなか面白いなと感じた。「銃・病原菌・鉄」に興味が出てきたので、早速図書館かどこかで調達しよう。

2010/10/19

君が望む永遠(野島けんじ)①~③

  
【タイトル】君が望む永遠①②③
【著者名】野島けんじ
【原作】 age
【発行年月日(初版)】2004/03/31、2004/04/30、2004/05/31
【登場人物の年齢層】高校生
【概略】① 高校三年生の孝之は、親友の慎二や、水泳部のエース・水月とわいわい騒ぎながら過ごす毎日を送っている。そんなある日、孝之は水月に学校裏の丘の上に呼び出された。しかし、待っていた孝之の前に現れたのは水月ではなく、彼女の友達・遙だった。緊張した様子の遙から「好きです」と告白され、とまどう孝之。遙のことはよく知らない…でも、必死に思いを伝えようとする彼女を傷つけたくない。その思いから、孝之は「いいよ、つき合おう」と返事をする。ぎこちなくつきあい始めたふたりだったが…。大人気のPCゲーム発TVアニメの小説化、第1弾。
② 三年ぶりに目覚めた遙。しかし彼女は、三年間眠り続けていたことを認識できず、孝之の恋人として無邪気に甘えてくる。孝之は水月との関係を隠し優しく接するが、そのたび割りきれていない想いに悩み揺れる。遙の妹・茜は、その優柔不断さに怒りを募らせるものの、孝之の胸中を知るに従い複雑な思いにかられていく。一方、水月は孝之を支え続けようとするが、生活も想いもすれ違うばかり。毎日遙の見舞いに通う孝之の心が、そのまま自分から離れてしまうのではと不安にかられた水月は、だんだんと思いつめるようになり…。アニメ小説化、第2弾。
③ 遙は少しずつ現状を認識しはじめていた。事故からどれくらい経ったのか訊かれ、答えられない孝之。だが、姉をだますことに限界を感じていた茜は、ついに「お姉ちゃんは3年間眠っていたの!あの事故から3年経ったの!」と言ってしまう。茜の言葉にショックを受けた遙は、再び意識を失う。その頃、水月は、孝之の気持ちが離れていくと感じ、その寂しさから行きずりの男性とホテルに向かっていた。偶然出会った慎二にとめられたものの、「誰でもいい」と思いつめた水月は、慎二と一夜を共にしてしまい…。大好評のアニメ小説化、ついに完結。(「BOOK」データベースより
【感想】 友人の勧めにより。元々はエロゲーだそうで、この小説はそのノベライズ版ということになる。


 先入観の影響かも知れないが、なんとなく読んでいて表現に軽薄な印象を受けた。自分の気持ちが伝えられなくてどうしたらいいかわからないときに雨が降り注ぎ雷が鳴るなど、いかにも想像できそうな表現で全く心に響かなかった。

 原作はエロゲーで、ウィキペディアを読む限り様々なメディア展開がなされており、相当優秀な作品だったと思われる。しかしこのノベルからはその優秀さは伝わって来なかった。


 この小説を読んでいる途中に思ったことは、ライトノベルと一般的な小説との差である。(まあこの小説はライトノベルのジャンルに入るのかは微妙だと思うが…)ライトノベルと一般の小説の大きな差の一つに挿し絵の有無があると思う。小説は挿し絵がないぶん自由に情景を想像できるが、ライトノベルはイラストとして所々に情景が描かれている。そこから想像を発展することもできるし、また一方で想像を固定化してしまうという欠点もある。難しいところである。
【ランク】4
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010年10月上旬に読み終えた。

2010/10/13

きみとぼくの壊れた世界(西尾維新)

【タイトル】きみとぼくの壊れた世界
【著者名】西尾維新
【発行年月日(初版)】2007年10月4日
【登場人物の年齢層】高校生
【概略】世界に取り残された「きみとぼく」のための本格ミステリ―。西尾維新の最高峰との呼び声も高い傑作、待望のハードカバー化。(「BOOK」データベースより)

 推理小説らしいが、正直推理箇所はどうでもよかった。一応それなりのオチはついていたが、わりかしどーでもいいです。それよりも主人公、対する妹、病院坂、何とかりりすのによる会話のほうがよっぽど面白かった。


 特に主人公と妹の自宅での会話は心に来るものがあった。こうしてみると、自分はこの小説に何を求めていたのか少し分かったような気がする。つまり、小説だからこそ可能な文字による変態の創造を求めていると言える。(?)


 謎の種明かし文を読むと、なるほとな、位は思うが、読むのがかなり面倒だった。読者に対してくどくど冗漫に説明するのはどうなんだろうか。


 他にも一人称の視点から何か長々と抽象的な話題をしていたが、どーでもいいです。いや、むしろそういう箇所があったからこそ、自分が着目したところが心を掴むのだろうか。もしそういう意図で挿入したならすごいと思うが、そもそもこの感想自体ややこの小説を場かにしている感があるし、やはり意図的ではないと思う。


 ここいらで読み始めたきっかけとなったブログのこの本に対する詳細を確認してみると・・・

 "「もんだい編」での妹とツンデレがたまらない。妹が狂うサマや、クラスメイトがツン→デレ→○○に変化する阿吽(もちろん読者と筆者との阿吽)は萌え死にそうになった。期待した通りの展開は別名「おやくそく」とも言うが、ここまでキチンと守ってくれる1章だけでお腹いっぱい。西尾維新は初めてだが、「戯言」が多少鼻につくが、ウザくなるまでの寸止めが絶妙。

 この小説はミステリ(?)のつもりらしい。笑止。ミステリとしてはしょうもない。「もんだい編」のラストで殺人事件が起きるのだが、どうでもよい。あたしにゃ2章以降はオマケとしか思えなかった。あるいは1章を元に『まっとうな』ギャルゲを製作するという話なら乗ってみよう。"

 まさしくその通りと言うしかない。しかしこのブログを読み進めていくうちに、どうやらこの小説は俗に言う「BAD END」らしい。物語に変化がない日常、選択肢は出口がないから云々らしいが、自分はあまりそのような印象は沸かなかった。ギャルゲーに対する造詣がないからかもしれないが、個人的にはこのようなレベルのエンディングは「サイアク」とまでは言えないと思う。まあ妹とのコミュニケーションが楽しめただけ満足です。期待していた最悪な読後感は得られなかったが。

 さて、この本を紹介していただいたこのブログに感謝の気持ちとして生まれて初めてトラックバックというものをしてみようと思うがうまくいくだろうか・・

追記:Bloggerにはトラックバック機能はないようだ・・・まあ仕方がないな。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】 ライトノベル的名前
誰だよ?レベルの人名
心に来る描写
理性と感情の攻めぎあい
【備考】2010年10月13日に読み終えた。

2010/10/07

マリシャスクレーム(範乃 秋晴)

【タイトル】マリシャスクレーム
【著者名】範乃 秋晴
【発行年月日(初版)】2010/6/25
【登場人物の年齢層】20~
【概略】消費者意識が高まる中、それに付け込んだ非人間的かつ悪質なクレーマー―IPBCの存在が企業の倒産リスクを高めるまで問題化していた。これに対抗すべく起ち上げられたのがエマージェンシーカスタマーセンターである。センターには鼓膜を突き抜ける怨嗟の声が渦巻く。それに微動だにしない青年がいる。榊原常光、唯一の対IPBCのプロフェッショナル。狡猾かつ理不尽な相手に、それ以上に狡猾にそして冷酷に追い詰めていく常光。だが、今までにない異常な相手が現れ―。(「BOOK」データベースより)
【感想】新聞の広告を見、たまたま書店で見つけたのがきっかけ。


 最初は難癖をつける悪質クレーマーに対して圧倒的な会話力で論破しねじ伏せる…というような小説を期待していたのだが、実際に主人公がやりあったのは二件だけで、しかも一件はややリアリティーに欠けるものだった。リアリティーといえば登場人物の名前もかなり特徴的で、なんとなくだがリアリティーを損なっているように感じた。特に主人公の所属する所は、特殊部隊的なニュアンスを出そうとしているのかあまり見掛けない名前ばかりだった。


 主人公も不思議なキャラクターで、クレーマー相手にはやり込めたかと思うと、現実世界では全く空気が読めず(読まず?)、しかも最後ではまさかの上司にまでもてている、よく分からないキャラクターである。


 IPBCと呼ばれるクレーマーも、徹底した悪役でいればいいのに、最後ではやや人間性のある描写をしていて少し幻滅した。


 あまり重箱の隅をつつくのはよくないのでこの辺りでやめておく。クレーマーに対して対抗するというコンセプトはよかっただけにやや残念だ。
【ランク】4.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010/10/05に読み終えた。

2010/10/03

ボトルネック(米澤穂信)

【タイトル】ボトルネック
【著者名】米澤穂信
【発行年月日(初版)】
平成21年10月1日(文庫版初版)
【登場人物の年齢層】中学生~高校生
【概略】亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した…はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。(「BOOK」データベースより)
【感想】 朝日新聞の書評欄で見たあと友人の勧めにより読み始めた。


 書評には「荒削り」と評されてあり、どんなものかと思ったらなるほどパラレルワールドという設定だったか。しかも自分がいない世界といた世界で徹底的に違いを見せつけられ、いかに自分が生まれたことが世界に負の影響を与えたことを認識して元の世界に戻って結末とは結構ビターである。


 ビターなエンディングは嫌いではないが…何とも言い難いものである。あまりこのようなビターなエンディング系統の小説を読んだことがないのも原因かな。
【ランク】6.25
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010年9月下旬に読み終えた。