2010/01/31

男どき女どき(向田邦子)


【タイトル】男どき女どき
【著者名】向田邦子
【発行年月日(初版)】2009年06月21日(新版 向田邦子全集第3巻)
【登場人物の年齢層】成人
【概略】向田邦子による短編集。
【感想】短編のどれも普段の日常生活が舞台である。向田邦子はその舞台の元で物語を綴り、人間の心理、その中でも後ろめたさや後悔などの微妙で複雑なものを描こうとしたように思える。実際私はこの短編集を読んで、各々の主人公の行動が描かれている描写を読みその理由を考えてみたりもしたが、言葉で説明するのが難しいモノが多かった。
 このような日常生活を舞台にして微妙な心理を描く作品は感想を書くのが難しいなと思った。
【ランク】5.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010年01月29日に読み終えた。

2010/01/26

卒業式はマリファナの花束を抱いて(伊藤たかみ)


【タイトル】卒業式はマリファナの花束を抱いて
【著者名】伊藤たかみ
【発行年月日(初版)】1997年05月23日
【登場人物の年齢層】大学生
【概略】エミリはパパの再婚相手が連れてきた綺麗な女の子。私はひと目で彼女を好きになった…。血のつながらないサラとエミリの姉妹のあいだに生まれた不思議でせつない恋。卒業式を前にクスリに溺れる少女たちの見えない未来を描く。 (「MARC」データベースより)
【感想】タイトルに惹かれたのが読み始めたきっかけ全体の文字数が少なく一時間程度で読み終えた。
 ドラッグに溺れる主人公の血のつながらないの妹"エミリ"と主人公の"サラ"による恋と、その状況を徐々に蝕むドラッグを描いている。正直なところあまりにも早く読み終えてしまい特にこれといった感想を抱かなかったが、それはすなわち内容が薄いということの現れかもしれない。停滞し鬱屈した状況を打開しようとするのを描いているのかな、と思ったが、それにしては文章にインパクトがなく印象に残らなかった。「八月の路上に捨てる」のときにも同じような印象を抱いているが、それがこの作家の特徴か。
【ランク】4.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010年01月26日

2010/01/25

無防備都市(逢坂剛)


【タイトル】無防備都市
【著者名】逢坂剛
【発行年月日(初版)】2002年1月15日
【登場人物の年齢層】成人
【概略】史上最悪の刑事・禿富鷹秋は神宮署の放し飼い。信じるものは拳とカネ。汚れきった無頼漢に南米マフィアの魔の手が。新警察暗黒小説(「BOOK」データベースより)
【感想】「禿鷹の夜」の続編。今回は主人公と対立する警察官も登場し、より主人公の活躍の様子が読める。
 前作と同じく、主人公の思考や心理描写が一切省かれている。その事も影響してか悪の象徴のような存在に畏敬の念を抱いた。小説の最後の方に主人公にはめられた松国警視という人物が主人公に対して「松国は禿富に対してある種の畏敬のようなものを、感じていた。禿富の中に、自分自身がついに持ちえなかった貴重な資質を、見出したのだった。(中略)松国は心のどこかで禿富の生き方をうらやましく感じ、あこがれている自分を意識するのだ。」と述べているが、全く同感である。
 この主人公に畏敬し憧れの念を抱くのは、自分がおそらくもつことができないであろう主人公の状態、例えば異常なほどの強さ、冷酷さなどに惹かれているからだと思う。主人公のような空想のキャラを産み出すことができるのも小説の良いところであり、そのようなキャラの物語を読んで楽しむのも読書することによる面白さの一つだなと思った。


 全く関係ないことだが、今回からシャープな文章を意識して感想を書いてみた。でもあんまり変わらない(´・ω・`)
【ランク】6.5(暫定)
【読書中メモの総覧】-
【備考】2010年01月23日に読み終えた。

2010/01/19

復活!!虹北学園文芸部(はやみねかおる)


【タイトル】復活!!虹北学園文芸部
【著者名】はやみねかおる
【絵】佐藤友生
【発行年月日(初版)】2009年7月24日初版
【登場人物の年齢層】中学生
【概略】「つまり、虹北学園に文芸部はないってこと?」「だから、さっきからそういってるじゃない!」めんどうくさそうな葵のことば。数秒後、すべてを理解したわたしは、さけび声をあげていた。…そりゃないよ、セニョール。小説家になりたい人も、そうでない人も必読の熱血文芸部物語!はやみねかおるの最新作は、渾身の書き下ろし。(「BOOK」データベースより)
【感想】広告を見て惹かれた。特に後悔はしていない。
 図書館で借りたのだが児童コーナーにあるのは予想していなかった。児童向けの本を読むのは当然の事だが久しぶりでいい息抜きとなった。絵に惹かれて読んだのだから中身についての批判などはしない。ライトノベルを読んでいる人はこのような気持ちで読んだりするのだろうか。
【ランク】(対象年齢が他作品と違うので評価無し)
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010年01月18日読了。

2010/01/15

メランコリア(村上龍)


【タイトル】メランコリア
【著者名】村上龍
【発行年月日(初版)】1996年5月
【登場人物の年齢層】成年
【概略】伝説の男が帰ってきた…。ニューヨークのダウンタウンでホームレスに身をやつし、隠遁していた謎の男・ヤザキ。快楽と頽廃にまみれたその半生を取材し始めた女性ジャーナリスト・ミチコは、やがてヤザキの独白に魅せられ、性愛の幻想に呑み込まれる。二人が行きつく先は果たして—。人間存在の奥底に疼く、「ゆううつ」と「癒し」の物語。傑作『エクスタシー』に続くシリーズ第二部。(「BOOK」データベースより)
【感想】・「エクスタシー」の続編。
・タイトルの「メランコリア」は日本語で鬱病という訳である。タイトル通り「ゆううつ」という単語がよく登場する。前作にも登場したヤザキと、ヤザキのインタビュアーである主人公が主な語り手であるが、内容は「エクスタシー」に増して抽象度が高く、話していることが多岐にわたるので分かりづらい。
・「メランコリア」単体だと起承転結のような概念があまり強くない。
・村上龍自選小説集第6巻からこの小説を読んだが第6巻のタイトルが「快楽と倦怠と死の独白」であり、収録作品が「エクスタシー」「メランコリア」「タナトス」からなるのでこの場合「メランコリア」は倦怠と訳すのがより的確かもしれない。
・セックスと麻薬のテーマは継続している。
【ランク】5.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010年01月12日読了。

2010/01/04

変愛小説集(岸本佐知子編)


【タイトル】変愛小説集
【著者名】岸本佐知子
【発行年月日(初版)】2008年05月07日初版
【登場人物の年齢層】さまざま
【概略】岸本佐知子、最新翻訳集 岸本佐知子が訳す世界の「愛」の物語。ブッカー賞作家から無名作家まで「変愛」と呼ぶしかない狂おしくも美しい愛の世界。こんな小説見たことない・・・!?
【感想】きっかけは不明。朝日新聞書評と思う。
通常の恋愛小説とは異なる、変わった恋愛を集めた短編小説集である。だが訳者あとがきにも書かれている通り、恋愛の対象が通常と異なるだけで中身は極めて真っ当な恋愛である。個人的には「まるのみ」という短編が衝撃的で面白かった。主婦が好きな人を丸呑みしてしまう話なのだが、設定が奇想天外なのにも関わらずちゃんと恋愛物語として成り立っているところがすごいな、という感想である。
 このようなあるテーマに沿って短編を集めて訳すというスタイルは非常に可能性があって面白いなと思う。このようなスタイルの短編集があったら読んでみたいと思う。
【ランク】6.3
【読書中メモの総覧】なし
【備考】20091230読了。

2010/01/03

借金取りの王子(垣根涼介)


【タイトル】借金取りの王子
【著者名】垣根涼介
【発行年月日(初版)】2009年11月01日初版
【登場人物の年齢層】30代
【概略】「誰かが辞めなければならないなら、私、辞めます」企業のリストラを代行する会社で働く真介の今回の面接相手は—真面目で仕事もできるのになぜか辞めたがるデパガ、女性恐怖症の生保社員に、秘められた純愛に生きるサラ金勤めのイケメンなどなど、一筋縄ではいかない相手ばかり。八歳年上の陽子との恋も波瀾の予感!?勤労者にパワーをくれる、笑って泣ける人気シリーズ、第二弾。(「BOOK」データベースより)
【感想】「君たちに明日はない」の続編。前作と同様にサクッと読み終えることができた。今回も登場キャラクター一人一人がちゃんと確立されて描かれている。
  今回は女性の心理が中心的に描かれており、主人公視点の描写が比較的少ない。元ヤンキーの女性と美男子の純愛を描いたタイトルでもある「借金取りの王子」が一番面白かった。この女性が一番しっかりしてそうで可愛いなと思ったからだ。
【ランク】5.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】20100102読了。

それでも花は咲いていく(前田健)


【タイトル】それでも花は咲いていく
【著者名】前田健
【発行年月日(初版)】2009年03月20日初版
【登場人物の年齢層】成人
【概略】神様—。僕は病気ですか?僕はゴミのように燃えてなくなればいいですか?たとえ人は変態と言おうが、それでも花は咲いていくのだ。九つの花に託された九人の人間、それぞれの衝撃的な性的魂の行方とは。タレント前田健による処女小説。 (「BOOK」データベースより)
【感想】ラジオでの宣伝を聞いて。
 様々なマイノリティな性癖や特徴をもつ人々(セクシャルマイノリティ)を主人公にした短編小説集である。ロリコンやゲイなど知名度の高いものからアセクシュアルなどあまり聞いたことのないものまで九つの主人公が描かれている。
 各小説の結末はハッピーエンドからバットエンドまで様々であるが、マイノリティな特徴を持っているからといって幸せになれないということはない例も描かれている。 この小説は世の中には様々な性癖や特徴を持つ人がいるということを知るのに適している。著者の前田健氏はラジオのインタビューにおいて実際に取材しそれをもとに書いたということを述べていたと思うからである。 紹介されたなかで一番辛いなと思ったのがアセクシュアルである。過去の出来事が原因で性的な行為が一切できなくなりむしろ嫌ってしまうのは大変だなという印象を抱いた。(あまり的確に文章で表現できていない)

 特にロリコンなど社会的に排除されがちな存在でも、条件反射で排除したり嫌ってしまうのはよくないことだと考える。もう少しロリコンを主人公にした小説や評論文を読み、詳しく知りたいと思った。
【ランク】6+α
【読書中メモの総覧】▼「エーデルワイス」…ロリコン(男)「ダリア」…セックス依存症(女)「ヒヤシンス」…空き巣&性欲を満たす(男)「デイジー」…二次元オタク(女)「ミモザ」…M(女)「リリー」…アセクシュアル/エイセクシュアル(女)「パンジー」…マザコン(男)「カーネーション」…熟年好き(女)「サンフラワー」…ゲイ(男) ▼文字数が少ないのですぐ読むことができる。
【備考】2009年12月29日読了。