2011/06/03

日の名残り(カズオ・イシグロ、土屋政雄訳)★


【タイトル】日の名残り
【著者名】カズオ・イシグロ
【訳者名】土屋政雄
【発行年月日(初版)】1990年07月07日
【登場人物の年齢層】老人
【概略】品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々―過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。(「BOOKデータベース」より)
【感想】村上春樹「雑文集」より。カズオ・イシグロは雑文集で取り上げられて非常に興味が湧き、またニューズウィークの「世界が尊敬する日本人25」に選ばれていることもあり、図書館にあったので手に取ってみた。(カズオ・イシグロは英国籍をとっており、また5歳で英国に移ったので果たして日本人なのかという疑問は少しある

 帯に「ノスタルジーと諦観が美しい田園風景に溶けこみ、静かな感動を呼びおこす」と紹介されているが、まさしくその通りである。最初は「こうした淡々とした展開がつづくのかな」と思ったが、だんだんこのなかにも郷愁、しみじみとした趣が滲み出ている。こうした絵に描いたような英国執事などいるのかと疑ってしまうが、光景を想像(妄想)するだけでもほのぼのと楽しい。この回想する主人公も完璧ではなく、どこか鈍感な感じがいい。

 名前に引きずられている感があるかもしれないが、訳された文章にはほとんど違和感がない、日本語で文章を書いているのか?と思わせるほどである。翻訳文章にありがちな雰囲気がほぼないといって良い。

 
【ランク】7
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011年06月03日に読み終えた。

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