2010/04/16

閉店時間(ジャック・ケッチャム、金子浩訳)


【タイトル】閉店時間
【著者名】ジャック・ケッチャム
【訳者名】金子 浩
【発行年月日(初版)】2008/7/30
【登場人物の年齢層】成人
【概略】9.11テロの傷痕残るニューヨーク。街では閉店間際のバーを狙った武装強盗が相次いでいた。バーテンダーのクレアは、恋に破れた哀しみを胸に抱えつつ今日も店に出る。自分を待ちうける運命も知らず…。未練を残して別れた恋人たちを襲う悪夢を描く、ブラム・ストーカー賞受賞の表題作をはじめ、意想外の結末へと読者を導く怒涛のサスペンス「ヒッチハイク」、傑作ノワール・ウエスタン「川を渡って」等、ケッチャム文学の最高峰を示す中篇四本を厳選して収録。加速する狂気に貴方はついていけるか。(「BOOK」データベースより)
【感想】ダヴィンチより。
 ダヴィンチにも掲載されていたと思うが、紹介文に「加速する狂気にあなたはついていけるか?」と書かれてあり、その言葉に惹かれて読み始めたのだが、正直そこまで狂気は感じられなかった。「閉店時間」は普通の強盗に巻き込まれたカップルの話だし、「ヒッチハイク」もあんまり狂気は感じない。ただ「雑草」は繰り返し強姦を行うカップルの話でそこそこ狂気は感じられたが、文章があまりに淡々、即ち物語の進行が記載されているだけで面白みは微妙である。(ストイックな文章がケッチャムの特徴とかなんとか解説に書いてあるので致し方ないが)最後の中篇は序盤で飽きて読むのをやめてしまった。
 加速する狂気という文句に惹かれて読んだが残念ながら期待に応える作品ではなかった。
【ランク】5+α
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010/04/13に読み終えた。

2010/04/13

禿鷹狩り(逢坂剛)


【タイトル】禿鷹狩り
【著者名】逢坂剛
【発行年月日(初版)】2006年07月15日
【登場人物の年齢層】成人
【概略】ヤクザすら好人物に感じられる悪徳刑事・禿富鷹秋に巧妙に仕掛けられた執拗な罠。ヤクザも南米マフィアも手玉にとる男の前に最強の刺客が現れる…! 息を呑む展開のシリーズ完結編(「MARC」データベースより)
【感想】 禿鷹シリーズのラスト。
 今回は禿鷹クラスの悪徳刑事である石動と、それの相方である嵯峨のコンビとの禿鷹、渋六の人間、そしてクローズアップされた御子柴との対決をメインに描かれている。特に、石動という刑事は強烈で、禿鷹との狐と狸の化かしあいという表現は非常に的を射ていると思う。
 ラストでプロローグの話が誰だったのかが明かされているらしいが、正直よくわからなかった。がん宣告されているというのがヒントになっていると思うのだが、イマイチよくわからん。多分もう一度読み直せば分かるような気もするが、そんな気力は沸いてこない。
 個人的には本作品で急激にクローズアップされた御子柴刑事が気になる。禿鷹の悪事に手を貸した御子柴のその後が気になるが、外伝での活躍に期待したい。
禿鷹シリーズの外伝が別冊文藝春秋で連載されているらしい。禿鷹の死後が描かれているので、早く単行本になってほしいものだ。
【ランク】5.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010/04/05に読み終えた。

紅~醜悪祭~上・下(片山憲太郎)














【タイトル】紅~醜悪祭~ 上・下
【著者名】山本憲太郎
【絵】山本ヤマト
【発行年月日(初版)】2007/11/30・2008/04/30
【登場人物の年齢層】高校生・他
【概略】上巻:新米揉め事処理屋の高校生・紅真九郎。紫と初めて迎えるクリスマスを目前に、銀子からもたらされた凶報。それは、真九郎の目標である柔沢紅香の死。信じられない真九郎は、その真偽を確かめる決意をする。そんな中、新たな依頼人が現れる。瀬川静之、6歳。姉の行方を探してほしいと言う彼女の依頼を受けた真九郎は早速動き出す。守るべきもの、進むべき道、そして生きる意味。真九郎の心が向かう未来は…。(「BOOK」データベースより)
 下巻:聖夜目前の新米揉め事処理屋・紅真九郎。最年少の依頼人・瀬川静之からの依頼を発端に、麗宇商会最高顧問“弧人要塞”星噛絶奈に遭遇し、すべての鍵を握る彼女から情報を得ようとしたが、最強かつ最凶の絶奈を前に、真九郎はなす術がない。悩み抜いた末に、真九郎はある奇策に出る。そして迎えたクリスマスイブ。真九郎のもとへ、絶奈から「イベント」の招待が来る。クリスマスプレゼントを待つ紫と、姉の帰りを待つ静之。二人の願いを叶えるため、そして自らの誇りのため、真九郎はその地へ向かう決意をするが…。(「BOOK」データベースより)
【感想】紅シリーズ第三作目。
 感想は「えっ」である。こんな終わりかたでいいのかというような終わりかたで、呆気にとられてしまった。悪宇商会の最高顧問である星噛との対決が始まった、という終わりかたは打ち切りになった漫画の最終回レベルの酷さだ。紫が近くにいるときのチートレベルの強さも相変わらずであるし、嫌な終わりかたである。
 ただ、前二作はおわりという文が入っていたのに対し、今回は上巻にも下巻にもおわりという文は見当たらなかったので、これから続くという事もなくはないと思うのだが、だとしたらあの下巻の巻末付録的なオマケはなんなのだろうかともかく、次回作がもしあるのなら早くでてほしいし、この終わりかたでおわりであるなら読むべきではなかった。
 
 どうやらアマゾンのレビューを読む限り公式ファンブックにこの醜悪祭のオチ的なものが掲載されているらしい。仕方がないが買うか・・・・
【ランク】3(暫定)
【読書中メモの総覧】なし

2010/04/09

紅~ギロチン~(片山憲太郎)


【タイトル】紅~ギロチン~
【著者名】片山憲太郎
【絵】山本ヤマト
【発行年月日(初版)】2006/07/30
【登場人物の年齢層】高校生、他
【概略】駆け出しの揉め事処理屋・紅真九郎にきた一通の電話。それは、商売敵である悪宇商会からの勧誘だった。一度は応じた真九郎だが、最終課題に出されたのは、なんと暗殺計画への参加。標的となるのは、一人の病弱な少女。真九郎は当然のごとく拒否し、交渉は決裂。そして暗殺阻止へと動き出す。しかし、踏み込んだ闇はあまりに深かった。立ち塞がる悪宇商会の殺し屋・斬島切彦。その恐るべき刃は、真九郎と紫の仲までも引き裂き、さらなる窮地へと追い詰める…。(「BOOK」データベースより)
【感想】紅シリーズ二作目。
 「ギロチン」と呼ばれる殺し屋、斬島切彦が登場するこの作品は、前作にも増して真九郎の心情描写が濃いように感じる。途中、紫との約束を反故にして紫に嫌われたあとの場面は、真九郎はかなり陰鬱になっていたし、また、斬島切彦に足蹴にされたときも同様である。しかしやはり最終的に紫と和解する場面はほのぼの…というよりはホッとする感じだ。
 ただ、真九郎が自身の体内に埋め込まれた「角」的なモノを使用したときと、通常の状態のときの能力の差はチートレベルである。これはあまりいただけないなと思う。ありがちな戦闘モノと大差ないからだ。この点も次作ではどのようになっているかが楽しみである。

 やっぱりライトノベルは読みやすく面白いなあと思う。今までほとんど読んだことなかったがさっくり読める小説としてこれからも時々読んでみようか。
【ランク】6.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010/04/09に読み終えた。

2010/04/08

紅(山本憲太郎)


【タイトル】紅
【著者名】山本憲太郎
【絵】山本ヤマト
【発行年月日(初版)】2005/12/30
【登場人物の年齢層】高校生、他
【概略】揉め事処理屋を営む高校生・紅真九郎のもとに、とある少女を守るという依頼が舞い込んできた。少女の名は、九鳳院紫。世界屈指の大財閥の御令嬢。詳しい事情を聞かされぬまま、真九郎は紫との共同生活を開始。彼女の我侭に振り回されながらも、その騒がしい日常に真九郎が慣れ始めたとき、最悪の使者が終わりを告げる。宿命、楽園、そして紫の願い。全てを知った真九郎の選択は…。(「BOOK」データベースより)
【感想】アニメを見て。
 この本の内容はアニメの内容とほぼ合致するので大体の内容は覚えていたが、改めて原作であるこの本を読んでみても物語に色褪せがないなあと感じた。紫が兄にさらわれる場面はドキドキしたし、主人公である真九郎と紫が一緒に過ごす場面はほのぼのとしている。こうして読んでみると設定に違いはあるものの、アニメは原作であるこの本の雰囲気を高いクオリティで再現していると思う。
 思えば、この小説はライトノベルに属しているが、ライトノベルを読むのはかなり久しぶりである。ましてや購入したのは初めてだ。この本を読む限り、普通の小説とライトノベルとの差は挿絵の有無ぐらいの差しかないのではないか。確かにこの小説はあっという間に読み終えたが、それは単に物語に引き込まれたという理由が大きい。やたらライトノベルを嫌悪する友人を思い出したが、読まずに忌み嫌うのはナンセンス、愚考である。
 続編である三冊も既に購入してあるので、早く読みたい限りだ。
【ランク】6.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010/04/08に読み終えた。

2010/04/06

銀弾の森(逢坂剛)


【タイトル】銀弾の森
【著者名】逢坂剛
【発行年月日(初版)】2003年11月30日
【登場人物の年齢層】成人
【概略】渋谷の利権を巡り、渋六興業と敵対する組の幹部を南米マフィア・マスダが誘拐した。三つ巴の抗争勃発も辞さない危うい絵図を描いたのは、なんと神宮署生活安全特捜班・ハゲタカこと禿富鷹秋。狙いは一体何なのか―己の欲望のままに拳をふるい、敵味方なく外道の道をゆく稀代の悪徳警官シリーズ第三弾。(「BOOK」データベースより)
【感想】『禿鷹の夜』『無防備都市』に続く禿鷹シリーズ第3弾である。
 今回は渋六と敷島、そしてマスダによるお互いの抗争が中心となって描かれている。
 お互いの対立を招いたのが禿鷹だったりといろいろ物語が展開されていくが、正直物足りない感じが否めない。殺し屋を撃退するわけでもなく、警察官との対立もない。過去二作品に比べて驚きな展開がが少なく、平凡である。
 次の作品が禿鷹シリーズ最後であり、またタイトルも『禿鷹狩り』と期待されるモノである。次作のためにわざと少し控えめにしたのなら、次作が期待の裏切らない作品であってほしい。
【ランク】5.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010/04/03に読み終えた。

2010/04/03

ダイナー(平山夢明)


【タイトル】ダイナー
【著者名】平山夢明
【発行年月日(初版)】2009年10月16日
【登場人物の年齢層】成人
【概略】ひょんなことから、プロの殺し屋が集う会員制ダイナーでウェイトレスをする羽目になったオオバカナコ。そこを訪れる客は、みな心に深いトラウマを抱えていた。一筋縄ではいかない凶悪な客ばかりを相手に、カナコは生き延びることができるのか?暗躍する組織の抗争、命がけの恋―。人の「狂気」「恐怖」を描いて当代随一の平山夢明が放つ、長編ノワール小説。(「BOOK」データベースより)
【感想】 ダヴィンチ、他より。ダヴィンチにおいてはプラチナ本として紹介されていたので少しわくわくしたきもちで読んだ。
 殺し屋専門の食堂で、ユニークすぎる登場人物による物語は次の展開が読めずまあまあ楽しめた。殺し屋関係の如何にもリアリティのありそうな知識がちりばめられており、全くのファンタジー小説にもなっていないのもいい。
 若干登場人物がごちゃごちゃになり、また終盤も少々ややこしかった。ラストも殺し屋食堂の話なのでありがちなラストではなくもう少しスカっとしたモノが欲しかった。以上の点が気になったものの、結構楽しめた小説であった。
【ランク】6.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010/03/29に読み終えた。

ヘンリエッタ(中山咲)


【タイトル】ヘンリエッタ
【著者名】中山咲
【発行年月日(初版)】2006/11/30
【登場人物の年齢層】高校生、成人
【概略】「ここにいていいんだよ」 “ヘンリエッタ”のメッセージに守られながら、あきえさんとみーさんと一緒に暮らすわたし。研ぎ澄まされた言語感覚に貫かれた、高校生が描く、静かな癒しの物語。(「MARC」データベースより)
【感想】 図書館でたまたま見かけて。タイトルとジャケットのみで選択。
 ヘンリエッタと呼ばれる不思議な館とそこに住む三人の女性による物語である。3人とも一般人と比べてやや異質な部分がある。それをも包み込むようなヘンリエッタという建物、またあたたかい文章は『無銭優雅』と似た感じである。
 この小説を書いたとき作者は高校3年生であったという。このレベルの文章が高校生から生まれるとなるとこれからの作品が楽しみであるのだが、今のところこの作家による物語が出ていないのが残念である。
 
  GUNSLINGERGIRLに登場するキャラクターを思い出した。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010/04/02に読み終えた。