2011/03/15

怪奇小説という題名の怪奇小説(都筑道夫)

【タイトル】怪奇小説という題名の怪奇小説
【著者名】都筑道夫
【発行年月日(初版)】2011/01/25
【登場人物の年齢層】成年
【概略】「第一章では、私はなにを書くか、迷いに迷って、題名もつけられない」―長篇怪奇小説の執筆依頼を受けた作家だったが、原稿は遅々として進まない。あれこれとプロットを案じながら街をさまようが、そこで見かけたのは30年前に死んだ従姉にそっくりの女だった。謎めいた女の正体を追ううちに、作家は悪夢のような迷宮世界へと入り込んでいく…。奇想にあふれた怪奇小説の傑作が現代に蘇る。(BOOKデータベースより)
【感想】図書館にて。題名に惹かれて。


 不思議な小説である。このようなスタイルの小説は読んだことがない。小説家が盗作しようとして選んだ本の世界(しかもこの小説家が作り出した妄想?)に飲み込まれていくという、ありそうだけど今まで読んだことのないタイプのものである。正直出てくるものはオカルトでほとんど恐怖を感じなかったが、最後の結末はなかなか秀逸である。


 しかも解説が道尾秀介とこれまた豪勢。下手な名前の知らない評論家よりも何百倍も良い。解説内でも述べられていたが、この小説は設計図もないまま書かれたものを膨らましてここまで書いたともう。よくもまあここまでまとまったものに仕上がったものだ。仮にこれが最初の設計図のもと位置から計画立てて書かれたとしたらもはや異才を越えて病気だろうと思ったが、さすがにそれはないだろう。


 都筑道夫という作家の作品は初めて読んだけれど、ウィキペディアを見る限りいろいろ面白そうな作品を書いているようなので、名前を見かけたら読んでみたい。
【ランク】6+α
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011/03/15に読み終えた。

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