2009/03/19

キャッチャー・イン・ザ・ライ(J.D.サリンジャー/村上春樹訳)☆


【タイトル】The catcher in the Rye キャッチャー・イン・ザ・ライ
【著者名】J.D.サリンジャー
【訳者名】村上春樹
【発行年(初版)】2006年3月31日(ペーパーバック・エディション)
【登場人物の年齢層】高校生
【概略】学校を追い出される事になった主人公ホールデン・コールフィールドの放浪記?(by me)/「古典は口に苦い」。先輩や親や教師からどんなに薦められても、文章は読みづらいし、物語も当然のことながら今から見れば古くさい。そんなわけで、つい、最近出たミステリーや恋愛小説に走ってしまう。
 でも、ここに、50年も前に出たのに、読みにくいどころか実に生き生きとした快調なテンポで語られ、洒落ていて、ユーモアもたっぷり、しかも今の我々につよく訴えかけてくる、大げさに言えば読んだ人間の一生の友になるような本がある。これまで『ライ麦畑でつかまえて』(野崎孝訳)というタイトルで長いあいだに日本でも二百万人に近い読者に愛されてきたアメリカの青春小説だ。
 主人公のホールデンは有名高校の生徒で、作文だけは誰にも負けないが、あとの学科はからきしダメな16歳の少年。彼は自分の学校~~の先生たちや同級生や何もかもにうんざりしている。物語は彼が成績不良で退学になる直前の冬、自分から学校をおん出るところから始まる。ニューヨークの街をさまよいながら彼は昔の先生や友人やガールフレンドに再会していくが……
 さて21世紀に入って、この『ライ麦畑でつかまえて』が、作家村上春樹による新訳で新しい命を吹き込まれた。タイトルも原題どおり『キャッチャー・イン・ザ・ライ』。原作の圧倒的な魅力は以前と変わりはないが、この本を愛してやまない村上春樹の斬新な翻訳は新たな読者を生み出している。今回のペーパーバック版刊行を機会に、より多くの若者にこの素晴らしい「古典」の魅力を知ってほしい。(出版社からのコメント)
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【感想】この本を読むきっかけから。好きなアニメの一つである「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」にこの本が出てきたからだ。ジュンク堂で衝動買いしたこの本はアニメに出てきた「ライ麦畑でつかまえて」野崎孝訳のものとは違うが、新しいほうが読みやすいかな、という憶測によりこの本を読む事にした。
 感想、、、というものホールデンの一人称による語りかけによって構成されるこの本は、なんというか大人に対するこの年ごろの見方が顕著に表れていると思う。この本が1951年に発表されたものだとは到底思えないぐらい現代の高校生ぐらいの思想というのかなんというかそういうものをよく表されていると思う。
 この本は実は結構な回数読破に挑んだが、今回初めて読破できたのだ。前まではホールデンが学校を飛び出す直前で飽きたり、文体に疲れて読むのを放棄してしまったのだ。今考えると、この本のメインに行く前にやめてしまったんだなと思う。
 攻殻機動隊SACの話に戻るが、笑い男のマークに書かれてある文章「I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes」(僕は耳と目を閉じ口をつぐんだ人間になろうと考えた)はこの本を一回読んだ限りでは見当たらなかったと思う。アニメのでてくる本と訳者が違うので違う邦訳になっているのかもしれない。
 また、この本の中にヴィルヘルム・シュテーケルという精神分析学者の言葉「未成熟のものなるもののしるしとは、大義のために高貴なる死を求めることだ。その一方で、成熟したもののしるしとは、大義のために卑しく生きる事を求めることだ」という文章が登場している。この言葉も攻殻機動隊SACに登場していたことを思い出した。少佐が言っていたと思う。
 脇道から戻すと、この本は世の中の矛盾というか憤りをホールデンが感じたままに表されていると思う。またホールデンぐらいの精神も。「ロリータ」と同じくこの本を一回読んだ限りで理解するのは不可能だと思う。よって再読必須である。さすが名作というか有名な古典だけの事はあるな。

【ランク】7.5+α
【備考】2009年3月19日に読み終えた。再読必須。

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