2009/02/28

猫を抱いて象と泳ぐ(小川洋子)☆


【タイトル】猫を抱いて象と泳ぐ
【著者名】小川洋子
【発行年(初版)】2009年1月10日
【登場人物の年齢層】多岐
【概略】一人の変わったチェスプレーヤーの生き様を綴った物語(by me)/伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの密やかな奇跡。触れ合うことも、語り合うことさえできないのに…大切な人にそっと囁きかけたくなる物語です。(「BOOK」データベースより)
【感想】読んでいる途中、「これは久々の大当たりだな」という印象を持った。この主人公は、チェス板の下に入る事でチェスをすることができるという。また、途中からアリョーヒンの人形を操ってチェスをする。今まで読んできた本の中で、ここまで読者に情景描写をさせる本は多分ないんじゃないかな、ってくらい私はこの本に引きつけられた。この作者は「博士を愛した数式」の作者で、こんどはチェスをテーマに設定したと朝日新聞の書評に書かれていたのを見て、これはおもしろいだろうな、と思っていたが、予想通りというよりもそれ以上のクオリティの高さだ。
 途中、ミイラという女性が人間チェスの中でポーンの役を行い、アリョーヒンがこのポーンを犠牲にし、ミイラを元男子更衣室に行かせ、そこで普段は鳴かない鳩が鳴くという場面があった。ここでなぜ鳴かない鳩が鳴ったかはミイラに何かあったとは思うのだが、一体何が起こったのかを考えさせられた、というよりも考えてしまった。相手の男がビショップをとったのはそのビショップの女性が好みだったから、人間チェスの喜びは更衣室にあった、というところから、ミイラは性的な何かを受けていたのではないか、と想像してしまった。それの真偽はともかく、私はこの本にこれほど引きつけられていたのか、とこの文を書いている中で改めて思った。
 この本を読んでいる最中、何度もチェスをやりたいと思い、インターネット上のチェスのflashを何回かやってみたものの、そこで思ったのは改めてチェスは難しいな、という情けない結果だった。と書いている最中にも、もう一度やってみよう、と思ってしまうあたり、やっぱこの本は凄いな、と思った。ぜひ映画化してほしいな。かなり難しいとは思うが。
【ランク】8
【備考】2009年2月28日に読み終えた。再読必須。

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