2011/02/11

背の眼(道尾秀介)



【タイトル】背の眼
【著者名】道尾秀介
【発行年月日(初版)】2005年1月
【登場人物の年齢層】少年~老人
【概略】児童失踪事件が続く白峠村で、作家の道尾が聞いた霊の声。彼は恐怖に駆られ、霊現象探求所を営む真備のもとを訪れる。そこで目にしたのは、被写体の背中に人間の眼が写り込む、同村周辺で撮影された4枚の心霊写真だった。しかも、彼ら全員が撮影後数日以内に自殺したという。これは単なる偶然か?第5回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。
 「ゴビラサ…」道尾の前で謎の言葉を呟いた男は、数日後に刺殺体で発見された。やがて、彼の残した言葉と度重なる霊現象が結びついた時、孤独な少年の死に端を発した一連の事件にまつわる驚愕の真実が明らかになる。美貌の助手を伴う怜悧な霊現象探求家・真備と、売れないホラー作家・道尾のコンビが難事件に挑む。(BOOKデータベースより)
【感想】 友人より。


 なんというか至極普通なミステリーだった。この作家は「向日葵の咲かない夏」の印象が強すぎてそれに匹敵するインパクトを求めていたのだが、残念ながら期待外れだった。この作品は「向日葵」より前に書かれたデビュー作にあたるようだが、以前書かれた作品、しかもデビュー作に同じ期待をするのは酷かもしれないが…解説に否定的な審査員の寸評が載っていたが、自分もやや似ていて話が冗長すぎてだるいことに尽きる。もちろん物語のなかで伏線を回収するのに必要なのだが。なんとなく最後の方では集中力が切れていた勘が否めない。


 こうして分かるのは、自分はあまりミステリー、推理小説が好きではないのかもしれないということだ。事件が起きる、主人公を含むグループが調査する、最後に犯人を特定して説明する。このような小説にあまり面白味を感じない、あまりミステリーを読まないからかもしれないが。その点「向日葵」は先にあげたタイプから逸脱しているから好きなのかもしれない。
【ランク】5.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011/02/11に読み終えた。

2011/02/09

共生虫(村上龍)

 

【タイトル】共生虫
【著者名】村上龍
【感想】書店にて。

 相変わらず村上龍作品は抽象的だな、と思っていたが、今回は今まで読んだ作品に比べてメッセージが分かりやすい。特「あとがき」が書かれている辺り珍しいな、という印象である。

 どうやらこの作品に関連して、「共生虫ドットコム」が期間限定で運営されていたり、また、「共生虫」に関する対談や主人公であるウエハラの精神分析など様々な内容をまとめた本が出版されるなどメディアミックスを展開したり、また、この作品が少年犯罪の連続事件のあと話題になった小説であることが解説で述べられている。これら一連の出来事にリアルタイムで立ち会えなかったのは非常に残念であるが、今から追体験をすることも可能だと思うので、早速この出版物を購入して読んでみたい。

 小説に関しては一読した限りだが、村上龍らしさを感じさせた。また、読む必要あるのか?という箇所が何ヵ所かあったりもした。

 以上が読んだ後書いた感想である。一応共生虫ドットコムを購入したのだがDVDが付属されてなくて萎えて読まないまま放置してしまった。一応形にはしとかないとな。機会があったら読み直すか。
 
【ランク】6+α
【備考】2010/12/05に読み終えた。

ノルウェイの森上・下(村上春樹)


 再読。以下読んでいて思ったことのメモ。2011/02/07に読み終えた。



 一つのストーリーとしてはっきりと定まっている感じではない、不安定で柔らかい感じ。特に主張するのでもなく、物語の雰囲気をより重視する。現実世界の空しさや悲哀を切り抜いた感じ。

 唐突に死ぬ。この前の章で快方に向かっているという記述のあった直後である。

 直子の自殺に深く悲しみ、自暴自棄にすらなっていたのにも関わらず、今(上・第一章)では記憶が薄れていくことの虚しさ、悲しさ。そして死んだ後緑が直接登場しないことのなんとも言えない感じ。見方によって何十もの読み方が出来る可能性を秘めている。こういう作品を現代文の授業でやったらなあ。


 なんて言うか感想をしっかり書けない。以前に比べたら進歩しているかもしれないが・・・これをまとめる気はさらさらない(まとめられない)。

2011/02/03

掏摸(中村文則)

【タイトル】掏摸
【著者名】中村文則
【発行年月日(初版)】2009/10/30
【登場人物の年齢層】子供~30代
【概略】お前は、運命を信じるか?東京を仕事場にする天才スリ師。彼のターゲットはわかりやすい裕福者たち。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎―かつて一度だけ、仕事を共にしたことのある、闇社会に生きる男。木崎はある仕事を依頼してきた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。もし逃げれば…最近、お前が親しくしている子供を殺す」その瞬間、木崎は彼にとって、絶対的な運命の支配者となった。悪の快感に溺れた芥川賞作家が、圧倒的な緊迫感とディティールで描く、著者最高傑作にして驚愕の話題作。(BOOKデータベースより)
【感想】ダヴィンチより。

 主人公に微かな望みを持たせて終わる話は嫌いじゃない。むしろ、スリをするような反社会的人間を主人公に置いてハッピーエンドで終わらせる方が嫌いだ。その点でこの作品はいい。ただ、なんというか曖昧な印象しか残らなかった。これが作者の持ち味なのかもしれないが、どうせならどちらかの悪を強烈に印象づけて欲しかった。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011/02/02に読み終えた。

2011/01/30

僕は勉強ができない(山田詠美)、69 sixty nine(村上龍)

 

 手持ちの小説がなくて困っていたので、以前読んだことのあるものを図書館で借りてきた。僕は勉強はできない(山田詠美)は3回目、69 sixty nine(村上龍)はおそらく2回目だと思う。69の方は記録を始める前に読んだようなので記録には残っていないが・・・。

 特に意識したわけではないが、どちらも主人公が高校生、時代がやや古いことが共通している。そしてどちらの主人公も高校生活をかなりエンジョイしている。正直自分には到底できそうにない生活で羨ましいものである。だいたいパソコンと試験前に勉強しているような自分にとってこの二作の主人公に完全に負けてる。


 個人的には「僕は勉強ができない」に登場する脇山、奥村先生が自分にとって近い感じである。実際女の子に気をあるそぶりを見せられた後あっけなく振られると絶望するに決まってるであろう。奥村先生は堅物で、主人公という生意気なイレギュラーなガキの対応に苦労する。自分も先生になったと仮定して主人公のような存在の先生になれる自信がない。


 69のほうは村上龍作品のなかでは一番読みやすいのではないか、と思うぐらい読みやすい。村上の実体験をベースに書かれている。学生運動があった時代を描いているが、エネルギーに満ちあふれているのが読んで伝わってくる。羨ましい。

2011/01/28

僕は友達が少ない3.4.5(平坂読、ブリキ)




【タイトル】僕は友達が少ない3,4,5

【著者名】平坂読
【絵】ブリキ
【発行年月日(初版)】2010/3/24、2010/07/31、2010/11/30
【登場人物の年齢層】10~高校生
【概略】省略
【感想】相変わらず絵はうまい。

 夜空が実は小学校の時の親友という、言ってみれば物語最大の核を最後で回収したのに、後書きを読む限りまだまだ続刊ずるそうだ。じゃあなぜこのタイミングで回収したんだ、と突っ込みたくなる。

 ギガジンで入間人間がインタビューで言っていた、「売れるとひたすらシリーズ化(引き延ばしともいう)を勧められること。どの話も一巻は続編をふまえて出していないので、飽き性にとっては苦行となります。」まあこういう言ってみれば日常を描いた作品に終わりなんてないのだが、それでもだらだら続くのは読んでいてだるい。途中で読むのをやめることができない性格なのでこれからも読むと思うが……
 
 続刊が確約されているからか、それぞれの最終話で次巻のフラグをたてて終わるようになっている。非常にだるい。これで既刊はすべて読み終えてしまったので、次が出るまで待つしかない。はたして出るまでに飽きてはいないだろうか……こういうところが嫌なのである。あとで調べてみると第6巻は5月25日に出版されるそうだ。まったく長すぎである。
【ランク】3.5+α
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011/01/28に読み終えた。

2011/01/22

僕は友達が少ない1,2(平坂読、ブリキ)



【タイトル】僕は友達が少ない1,2
【著者名】平坂読
【イラスト】ブリキ
【発行年月日(初版)】2009年8月21日、11月21日
【登場人物の年齢層】
(「BOOK」データベースより)
【概略】学校で浮いている羽瀬川小鷹は、ある時いつも不機嫌そうな美少女の三日月夜空が一人で楽しげに喋っているのを目撃する。「もしかして幽霊とか見える人?」「友達と話していただけだ。エア友達と!」「(駄目だこいつ…)」小鷹は夜空とどうすれば友達が出来るか話し合うのだが、夜空は無駄な行動力で友達作りを目指す残念な部まで作ってしまう。しかも何を間違ったか続々と残念な美少女達が入部してきて―。みんなでギャルゲーをやったりプールに行ったり演劇をやったり色々と迷走気味な彼らは本当に友達を作れるのか?アレげだけどやけに楽しい残念系青春ラブコメディ誕生。

隣人部―それは残念な連中が日夜友達作りのためのギャルゲーや演劇などどこか空回りな活動をしたり、ダベったりしている残念な部。残念系美少女の三日月夜空や柏崎星奈、美少女メイド(ただし男子)の楠幸村に加え、幼女シスターで顧問のマリア先生やいろんな意味で常識を超えた天才少女の志熊理科も加わり、ますます騒がしくて取り返しのつかない状況になってしまった隣人部。その中でただ一人の常識人(ただし友達は少ないというか、いない?)羽瀬川小鷹はいったいどうなる!?大人気の残念系青春ラブコメ第二弾、友達を募集しつつスタート。(「BOOK」データベースより)
【感想】漫画を読んだのがきっかけ。


 よくも悪くも「ライトノベル」な文章である。お陰ですぐに読み終えた。話自体が決してつまらないわけではないのだが、慣れてないからか読んでいて恥ずかしくなる感じだった。(内容自体というよりも、文体というべきだろうか)まあお手軽に読めるので、続きも読んでみようかと思う。



 しかし絵はうまい。
【ランク】4+α
【読書中メモの総覧】
なし
【備考】2011年1月21日に読み終えた。