2010/04/08

紅(山本憲太郎)


【タイトル】紅
【著者名】山本憲太郎
【絵】山本ヤマト
【発行年月日(初版)】2005/12/30
【登場人物の年齢層】高校生、他
【概略】揉め事処理屋を営む高校生・紅真九郎のもとに、とある少女を守るという依頼が舞い込んできた。少女の名は、九鳳院紫。世界屈指の大財閥の御令嬢。詳しい事情を聞かされぬまま、真九郎は紫との共同生活を開始。彼女の我侭に振り回されながらも、その騒がしい日常に真九郎が慣れ始めたとき、最悪の使者が終わりを告げる。宿命、楽園、そして紫の願い。全てを知った真九郎の選択は…。(「BOOK」データベースより)
【感想】アニメを見て。
 この本の内容はアニメの内容とほぼ合致するので大体の内容は覚えていたが、改めて原作であるこの本を読んでみても物語に色褪せがないなあと感じた。紫が兄にさらわれる場面はドキドキしたし、主人公である真九郎と紫が一緒に過ごす場面はほのぼのとしている。こうして読んでみると設定に違いはあるものの、アニメは原作であるこの本の雰囲気を高いクオリティで再現していると思う。
 思えば、この小説はライトノベルに属しているが、ライトノベルを読むのはかなり久しぶりである。ましてや購入したのは初めてだ。この本を読む限り、普通の小説とライトノベルとの差は挿絵の有無ぐらいの差しかないのではないか。確かにこの小説はあっという間に読み終えたが、それは単に物語に引き込まれたという理由が大きい。やたらライトノベルを嫌悪する友人を思い出したが、読まずに忌み嫌うのはナンセンス、愚考である。
 続編である三冊も既に購入してあるので、早く読みたい限りだ。
【ランク】6.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010/04/08に読み終えた。

2010/04/06

銀弾の森(逢坂剛)


【タイトル】銀弾の森
【著者名】逢坂剛
【発行年月日(初版)】2003年11月30日
【登場人物の年齢層】成人
【概略】渋谷の利権を巡り、渋六興業と敵対する組の幹部を南米マフィア・マスダが誘拐した。三つ巴の抗争勃発も辞さない危うい絵図を描いたのは、なんと神宮署生活安全特捜班・ハゲタカこと禿富鷹秋。狙いは一体何なのか―己の欲望のままに拳をふるい、敵味方なく外道の道をゆく稀代の悪徳警官シリーズ第三弾。(「BOOK」データベースより)
【感想】『禿鷹の夜』『無防備都市』に続く禿鷹シリーズ第3弾である。
 今回は渋六と敷島、そしてマスダによるお互いの抗争が中心となって描かれている。
 お互いの対立を招いたのが禿鷹だったりといろいろ物語が展開されていくが、正直物足りない感じが否めない。殺し屋を撃退するわけでもなく、警察官との対立もない。過去二作品に比べて驚きな展開がが少なく、平凡である。
 次の作品が禿鷹シリーズ最後であり、またタイトルも『禿鷹狩り』と期待されるモノである。次作のためにわざと少し控えめにしたのなら、次作が期待の裏切らない作品であってほしい。
【ランク】5.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010/04/03に読み終えた。

2010/04/03

ダイナー(平山夢明)


【タイトル】ダイナー
【著者名】平山夢明
【発行年月日(初版)】2009年10月16日
【登場人物の年齢層】成人
【概略】ひょんなことから、プロの殺し屋が集う会員制ダイナーでウェイトレスをする羽目になったオオバカナコ。そこを訪れる客は、みな心に深いトラウマを抱えていた。一筋縄ではいかない凶悪な客ばかりを相手に、カナコは生き延びることができるのか?暗躍する組織の抗争、命がけの恋―。人の「狂気」「恐怖」を描いて当代随一の平山夢明が放つ、長編ノワール小説。(「BOOK」データベースより)
【感想】 ダヴィンチ、他より。ダヴィンチにおいてはプラチナ本として紹介されていたので少しわくわくしたきもちで読んだ。
 殺し屋専門の食堂で、ユニークすぎる登場人物による物語は次の展開が読めずまあまあ楽しめた。殺し屋関係の如何にもリアリティのありそうな知識がちりばめられており、全くのファンタジー小説にもなっていないのもいい。
 若干登場人物がごちゃごちゃになり、また終盤も少々ややこしかった。ラストも殺し屋食堂の話なのでありがちなラストではなくもう少しスカっとしたモノが欲しかった。以上の点が気になったものの、結構楽しめた小説であった。
【ランク】6.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010/03/29に読み終えた。

ヘンリエッタ(中山咲)


【タイトル】ヘンリエッタ
【著者名】中山咲
【発行年月日(初版)】2006/11/30
【登場人物の年齢層】高校生、成人
【概略】「ここにいていいんだよ」 “ヘンリエッタ”のメッセージに守られながら、あきえさんとみーさんと一緒に暮らすわたし。研ぎ澄まされた言語感覚に貫かれた、高校生が描く、静かな癒しの物語。(「MARC」データベースより)
【感想】 図書館でたまたま見かけて。タイトルとジャケットのみで選択。
 ヘンリエッタと呼ばれる不思議な館とそこに住む三人の女性による物語である。3人とも一般人と比べてやや異質な部分がある。それをも包み込むようなヘンリエッタという建物、またあたたかい文章は『無銭優雅』と似た感じである。
 この小説を書いたとき作者は高校3年生であったという。このレベルの文章が高校生から生まれるとなるとこれからの作品が楽しみであるのだが、今のところこの作家による物語が出ていないのが残念である。
 
  GUNSLINGERGIRLに登場するキャラクターを思い出した。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010/04/02に読み終えた。

2010/03/29

無銭優雅(山田詠美)☆


【タイトル】無銭優雅
【著者名】山田詠美
【発行年月日(初版)】2007年01月31日
【登場人物の年齢層】40代
【概略】大人になりそこねた男と女は、名作に導かれて、世にも真摯な三文小説を織り上げる。いつか死ぬのは知っていた。けれど、死ぬまでは生きているのだ。ささやかな日々の積み重ねが、こすり合わされて灯をともし、その人の生涯を照らす。そして、照り返しで死を確認した時、満ち足りた気持で、生に飽きることが出来る。 私は、死を思いながら、死ぬまで、生きて行く。今わの際に、御馳走さま、とひと言、呟くために——。(著者からの内容紹介)
【感想】おそらくダヴィンチより。 今まで私が読んだ山田詠美の作品よりも登場人物の年齢層が高い。
 読者を思いきり引き込むというよりは落ち着いて読める感じである。言葉にして感想に表すのは難しいが、しっとり穏やかな感じである。
【ランク】7
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010年03月23日に読み終えた。再読を促す。

風の中のマリア(百田尚樹)


【タイトル】風の中のマリア
【著者名】百田尚樹
【発行年月日(初版)】2009年3月13日
【登場人物の年齢層】- (オオスズメバチ)
【概略】「女だけの帝国」が誇る最強のハンター。その名はマリア。彼女の身体はそのすべてが戦いのために作られた。堅固な鎧をまとい、疾風のように飛ぶ。無尽蔵のスタミナを誇り、鋭い牙であらゆる虫を噛み砕く。恋もせず、母となる喜びにも背を向け、妹たちのためにひたすら狩りを続ける自然界最強のハタラキバチ。切ないまでに短く激しい命が尽きるとき、マリアはなにを見るのか。(「BOOK」データベースより)
【感想】おそらくダヴィンチより。雌のオオスズメバチを主人公として厳しい自然の世界を描いている。
 とてもひさしぶりに人間以外の主人公の小説を読んだこともあって、読み始めてその日のうちに読み終えることができた。巻末の資料を参考にして執筆しているのでかなりのリアリティがあると思う。物語のおもしろさに加えてオオスズメバチをはじめとする生態系のシステムを知ることもできる。オオスズメバチをはじめとするハチの生態系は本にも書いてある通り他の生物と異なり、雌でも生まれたときから自らが子孫を残すかワーカーとして働くのかが決まる。その特徴的な生態系を物語として読めるのは私はいいなと思った。
 個人的には生まれてくる時期が早く、子孫を残すことができずに死んでいくヴェーヴァルトがかわいそうだなと思った。
 
 以前GIGAZINEにおいてスズメバチがヨーロッパのミツバチを倒すムービーが紹介されていたのを思い出したが、まさしく小説中において優秀なワーカーがスズメバチに熱殺される場面と同じである。
【ランク】6.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010/03/24に読み終えた。

2010/03/21

鬼の跫音(道尾秀介)


【タイトル】鬼の跫音
【著者名】道尾秀介
【発行年月日(初版)】2009年01月31日
【登場人物の年齢層】全般
【概略】 心の中に生まれた鬼が、私を追いかけてくる。—もう絶対に逃げ切れないところまで。一篇ごとに繰り返される驚愕、そして震撼。ミステリと文芸の壁を軽々と越えた期待の俊英・道尾秀介、初の短篇集にして最高傑作。(「BOOK」データベースより)
【感想】ダヴィンチより。「向日葵の咲かない夏」の作者であるので、期待と共にこの短編集を読んだ。
 短編だからという理由もあると思うが、正直物足りなかった。「向日葵の咲かない夏」に比べると明らかにインパクトに欠けるし、この作者に特徴的な大どんでん返しと言うべきモノもあまり感じなかった。今回の短編は最後にひっくり返されても「はい、そうですか」程度のモノであった。紹介文の最高傑作という単語が輝いて見える。

 ダヴィンチにおいてこの作品は短時間で書き上げたというような記述があったと思うが、もう少し捻りをいれてほしかった。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010年03月18日に読み終えた。