【タイトル】ジーキル博士とハイド氏
【著者名】スティーブンスン
【訳者名】村上博基
【発行年月日(初版)】2009/11/20
【登場人物の年齢層】大人
【概略】街中で少女を踏みつけ、平然としている凶悪な男ハイド。彼は高潔な紳士として名高いジーキル博士の家に出入りするようになった。二人にどんな関係が?弁護士アタスンは好奇心から調査を開始するが、そんな折、ついにハイドによる殺人事件が引き起こされる。
【感想】 図書館でたまたま。
いわゆる善の人格であるジーキル博士が、悪の塊かのようなハイドという人格を形成し喜びをもっていたが、次第にハイドにジーキルが飲み込まれていくなかでジーキルの苦悩の告白は、心にぐっと来た。なんというか、哀れや寂しさ、また一種の小さな羨望がミックスされた感じである。
ハイドという人格には素直に羨ましい。理性や倫理にコントロールされないのは、決して得ることのできないモノだから。ただ、ジーキルのように次第に飲み込まれていくことに抗うことができるかと聞かれると極めて難しい、ハイドを制御できる自信はほとんどない。そういう無条件的な悪への欲求に対抗できない人間をうまい物語で表すことが出来た作品だと思う。
正直こういう有名な古典=難解という先入観を持っていたが、この作品は予想よりも平易な文章で書かれていてで読みやすかった。この訳だからかも知れないが。
解説において映画と原典におけるハイド氏の描かれ方のギャップについて述べられていたが、幸か不幸か私はこの映画を見た記憶がないので、先入観無しでハイド氏の描写を認識することができた。
【ランク】6+α
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011/02/22に読み終えた。