GOTH漫画版。古本屋で見かけて、立ち読みしたらつい読破してしまった。
小説版は以前に読んだことがあるが、やはりそのときも思ったと思うがこの作品は面白い、そして最後のミステリーで混乱する。小説のときの自分と全く変わっていなかった。最後の部分は明らかに小説と違っているが、残念ながら他の差異は見つけられなかった。一人称くらいかなあ。小説板に走らない話があると述べられているが、そうだったっけ?
裏表紙が美しい。画像だと正直美しさが伝わらないが。ふとカバーをめくってこの絵を見つけたときの驚きは表しがたいものだ。
やはりというべきか、漫画は小説とは違ったインパクトを与える。どちらが良いというわけではない。小説には具体的なイメージが与えられず、想像力に依存するからこその怖さがあり、漫画は視覚的な怖さがある。残念ながら小説板の感想が適当すぎて当時の感想を完全に思い出すことができないが、おそらく違うだろう。切り刻まれた猟奇的な死体が実際に絵になるのは、怖さはないけれど何となくすごい。あまり関係ないが「土」の短編での中表紙である森野の縛られたSMチックな絵はかなり印象に残った。眺めていて悪くない。
あとがきで乙一は「……ところでこの作品のコンセプトは、『毎回、登場するいろんな妖怪がヒロインを襲い、それを主人公がひそかに救出する』というまったく単純なものだった。……僕は異常者の内面を書きたいなどとは思わなかったし、異常な殺人を書きたいという気持ちもなかった。僕の念頭にあったのは、ともかく読者をおもしろがらせようという気持ちだけだった。……」と述べている。……マジですか。正直乙一はこういう作品ばっか書く人だと思っていた。この一冊だけしか読んでいないので完全にこれのイメージに捕らわれてしまっているが、もし書いてあることが字面の通りだったらなんか少し残念である。特に積極的にミステリーを読もうという気持ちもわかないので、しばらく乙一作品に触れる機会もなくなってしまうだろう。
ウィキペディアで調べてみると小説には「犬」という短編があったそうだ。まったく記憶にないが、確かによく考えてみたら漫画版は短編の数が少ないように思える。読み返したくなってきたな。
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