【タイトル】ファミリーポートレイト
【著者名】桜庭一樹
【発行年月日(初版)】2008年11月20日
【登場人物の年齢層】~30代
【概略】あなたとは、この世の果てまでいっしょよ。呪いのように。親子、だもの。
直木賞受賞後初の書き下ろし長編1000枚。
全身全霊感動のエンディングを迎える、恐るべき最高傑作!
ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。うつくしく、若く、魂は七色に輝く、そしてどうしようもなく残酷、な母の“ちいさな神”として生まれた娘の5歳から34歳までを描く。
怒涛のごとき展開と濃密な物語に圧倒されながらページを繰る手が止まらない第一部「旅」、紙上の文字がいまにも叫び出しそうな言葉の力に溢れ、この作品を同時代に読めた喜びに震える第二部「セルフポートレイト」――二部構成となる本書は、進化と深化が止まらないモンスター作家・桜庭一樹の新たな金字塔となった! 面白くて、どこまでも凄い!!!
【感想】母と娘の一般的でない繋がりから成長し、最終的には比較的安定した環境に落ち着く物語…と言えばいいのだろうか、正直この手のタイプの小説は感想を具体化するのは難しいと感じる。
ひとつ言えるのは、すべてを通じて母と娘、という関係がキーポイントになっていることである。母親にとって一番の存在であった主人公の立場が、主人公が成長していくに従って立場が変化していき、最後には母親に置いてきぼりにされる。その後も、主人公の代弁者的存在や、また心情のなかに登場している。一度読んだだけでこの関係を詳しく理解するのは難しい。しかし借り物だから仕方がない。二三回精読しないとこの小説を深く理解することは難しいのではないように思えた。
本筋からそれるが、主人公の高校生のときの生活に憧れを抱いた。世間的には堕落していると思われても、自分の今の状況では実現不可能な生活なだけに羨ましい。徹底した堕落は小説だからこそ描けるのかもしれないが…堕落した生活は極めて魅力的である。
【ランク】ー
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2010/09/21に読み終えた。再読を促す。