2009/09/12
動物農場(ジョージ・オーウェル 高島文夫訳)☆
【タイトル】動物農場
【著者名】ジョージ・オーウェル
【訳者名】高島文夫
【発行年月日(初版)】1972年8月30日
【登場人物の年齢層】-
【概略】一従軍記者としてスペイン戦線に投じた著者が見たものは、スターリン独裁下の欺瞞に満ちた社会主義の実態であった…。寓話に仮託し、怒りをこめて、このソビエト的ファシズムを痛撃する。(「BOOK」データベースより)
【感想】朝日新聞の別刷りの書評を読んでこの本を読もうと思い、今回図書館より借りて読んでみた。
表題作である「動物農場」は寓話の形式をとったスターリン体制に対する強烈な風刺である。私は今までなにかを風刺した作品を読んだ記憶があまりないので、風刺というものがどのような感じの物語なのかイマイチよく分からなかったが、今回この作品を読んだことで風刺というものがどういうものか理解した。
まず最初に読んでいて思ったことは、独裁体制がどのようにしてでき、いかに恐ろしいものであるかということである。特に罪を名乗り出た動物がその場で処刑される場面は引きずり込まれると同時に身の毛もよだつ思いがした。
また、革命というものの安易さである。今まで私は民衆による革命は必ずといってもいいほど状況がよくなり、よい結果をもたらすと思っていたが、「動物農場」のように結果的に大して変わらないということもあり得るのだな、と思った。また、今まで優秀なリーダーが一人いれば国は必ずいい方向に導いてくれる、という考えが自分の中にあった。しかし、考えてみれば甚だ愚考で、そのような状況は独裁政治につながりやすいことも分かった。考えを改めなければ。
前述の通り、「動物農場」は強烈な風刺である。各々の登場人物は実在の人物に当てはめることが出来る。例えば革命を予言したメージャー爺さんはレーニン、革命後に独裁者となったナポレオンはスターリン、元々の農場の持ち主であるジョーンズ氏はロシア皇帝…と。また、違った対応関係も当てはめることが出来ると解説で述べられている。
私はスターリン体制の時のロシアの状況をよく知らないのだが、解説によってある程度把握した。この先この時代のロシアの情勢を学習することでより一層楽しめると思う。
ロシア革命を風刺した極めて秀逸な寓話であった。解説に「動物農場」後を描いたジョージ・オーウェルの作品に「1984」があるらしいので、読んでみたいと思う。解説にジョージ・オーウェルは行動の作家であると述べられている。現に、自分が現地に赴き見聞きし体験した事を物語にしている。この本にもいくつか収録されていた。その点でもすごいな、と思った。
【ランク】7.5+α
【読書中メモの総覧】独裁の恐怖 身の毛もよだつ 行動の作家
【備考】2009年9月11日に読み終えた。再読を促す。
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