【タイトル】華麗なる一族
【著者名】山崎豊子
【発行年月日(初版)】1980年5月25日初版(文庫版)
【登場人物の年齢層】全年齢
【概略】業界ランク第10位の阪神銀行頭取、万俵大介は、都市銀行再編の動きを前にして、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ、上位銀行の経営内容を極秘裏に入手、小が大を喰う企みを画策するが、その裏で、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平からの融資依頼をなぜか冷たく拒否する。不気味で巨大な権力機構「銀行」を徹底的に取材した力作。
阪神特殊鋼の専務万俵鉄平は、米国企業からの増注契約をキャンセルされて危機に陥る。旧友である大同銀行の三雲頭取が多額の融資を了承してくれるが、その矢先、熱風炉が爆発するという事故が出来―。一方、万俵家の次女二子は、総理の縁戚と見合いをしながらも、鉄平の部下である一之瀬に惹かれていく。万俵家に同居する大介の愛人・高須相子が企む華麗な閨閥づくりの行方は…。
万俵大介は、大同銀行の専務と結託して、鉄平の阪神特殊鋼が不渡手形を出し、倒産へと追いやらされるさ中、上位の大同銀行との合併をはかる。鉄平は、大同銀行の頭取を出し抜いた専務と父親大介の関係を知るに及び、丹波篠山で猟銃自殺をとげる。帝国ホテルで挙行された新銀行披露パーティの舞台裏では、新たな銀行再編成がはじまっていた―。聖域「銀行」に挑戦した熾烈な人間ドラマ。
【感想】図書館で目についたのがきっかけ。
キムタク主演のドラマを昔見たので概略は大体覚えているが、それでもどんどん引き込まれる。細部やドラマではカットされたであろう部分を読むと新たな発見が出来て飽きない。が、やはり人間関係は複雑である。人間関係と言うよりも親族関係と言うべきであろう、正直この人物が誰の何に当たるのかが難しさ極まりない。また、昭和の時代を舞台としてるので、その当時の風景描写も又細かい。
なんといっても著者の入念な取材が目に浮かぶ文章である。こういう小説を読んでいると小説家に対する畏怖と尊敬の気持ちが出てくる。
本筋からそれるが、文庫版の裏表紙のあらすじはかなりネタバレ度がひどい。まああらすじと考えれば適切であろうが、ふと読んでしまうとストーリーを知らない人にとっては楽しみが減ってしまうだろう。もっと中身が読みたくなるような物を書けないものかと。
【ランク】6.5
【読書中メモの総覧】上 話の概略はドラマにより知っているがそれでも退屈させない やはり複雑
中 人間関係が難解 徐々に追い詰められていく鉄平だが、なぜ父親と確執があるのか解せぬ姿が哀れ【備考】2011/07/23に読み終えた。