2009/06/26

限りなく透明に近いブルー(村上龍)☆


【タイトル】限りなく透明に近いブルー
【著者名】村上龍
【発行年月日(初版)】1976年1月
【登場人物の年齢層】成年
【概略】アメリカ軍基地を持つ福生を舞台に、若者たちのセックスや麻薬、黒人との交流などに明け暮れ、リュウ(主人公)が次第にドラッグによって体が蝕まれ、最終的には狂ってしまう(wikipedia)
【感想】「エクスタシー」を読んで村上龍という作家に惹き付けられ、彼のデビュー作を読んでみた。この作品は「エクスタシー」に比べてどちらかというとドラッグの方面に比重が置かれており、(まあ当然といえば当然なのだが)主人公のドラッグによって破滅していく姿描かれているのだが、やはりというか強烈な印象を持った。表現がかなり抽象的で自分の置かれている状況が混沌としてまた空虚である様子が読んで受け取られる。
 この作品は群像新人文学賞と芥川賞を受賞しているのだが、wikipediaのこの項目を読んでみると芥川賞の受賞には賛否が分かれかなり論戦が起こったらしい。まあ内容的にいってすんなり受賞するとは思えなかったからやはり論戦は必至だったと思う。また最初の原題が「クリトリスにバターを」という題名で露骨な性描写のため改題したエピソードが載っているが、流石にそのタイトルはだめだろう。
 「エクスタシー」とこの作品を読んで、村上龍はどうやったらこの文章が生み出せるのか本当に分からないという印象を持った。自身の体験があるのかもしれないがこれだけのセックスやドラッグ表現が生み出せるのはやはり才能なのかな、とも思う。
 「中国語版の出版に際し、序文の中で村上本人は作品のテーマを、近代化の達成という大目標を成し遂げた後に残る『喪失感』であると述べている。また同文中にて、この作品がその後の作品のモチーフを全て含んでいる、ということが述べられている。」という文章がwikipediaに書かれてあり、なるほどな、と思った。もうちょっと村上龍の作品を読んでいきたい。
 新装版に綿矢りさの解説が載っているが、抽象的で分かりづらいなという印象を持った。
【ランク】6.5+α
【読書中メモの総覧】ニブロール
【備考】2009年6月25日に読み終えた。再読を促す。

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