2011/04/28

砂漠(伊坂幸太郎)


【タイトル】砂漠
【著者名】伊坂幸太郎
【発行年月日(初版)】
【登場人物の年齢層】大学生
【概略】「大学の一年間なんてあっという間だ」入学、一人暮らし、新しい友人、麻雀、合コン…。学生生活を楽しむ五人の大学生が、社会という“砂漠”に囲まれた“オアシス”で超能力に遭遇し、不穏な犯罪者に翻弄され、まばたきする間に過ぎゆく日々を送っていく。パワーみなぎる、誰も知らない青春小説。(「BOOK」データベースより)
【感想】友人より。


 麻雀の話が登場すると聞いて割りと楽しみだながら読んでいたが、こういう風に麻雀を小説に登場させる発想はなかったので楽しめた。もちろん麻雀の話がメインではないが、麻雀をきっかけに登場人物の交流が始まったというのは羨ましいものである。


 しかし雀鬼の話が出てくるとは思わなかったし、参考文献に「科学する麻雀」の名が連ねるとも思わなかった。主人公の麻雀のスタイルはここから来ているのかと思うとなんか心躍る気持ちである。


 こういった比較的ライトなエンタメ小説は重たいものを読んでいるときの息抜きにちょうどいい。今ちょうど「海辺のカフカ」を読んでいるが、友人がいいタイミングで貸してくれたと思う。朝の電車でもこういった小説は眠くならずに読めるのでいいものである。(「海辺のカフカ」はこの点で劣る)井坂作品はこれで3作品目だが、こういった小説を今後も読みたいなと思う。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011/04/27に読み終えた。

2011/04/20

海辺のカフカ(村上春樹)

 

【タイトル】海辺のカフカ上・下
【著者名】村上春樹
【発行年月日(初版)】2002/09/10
【登場人物の年齢層】15~
【概略】15歳になった僕は二度と戻らない旅に出た。彼は長身で、寡黙だった。金属を混ぜ込んだような強い筋肉を持ち、世界でいちばんタフな15歳の少年になりたいと思っていた。東京都中野区にもしある日、空から突然2000匹の生きた魚が路上に落ちてきたら、人々は驚かないわけにはいかないだろう。多くのネコたちは名前を持たない。多くのネコたちは言葉をもたない。しかしそこには言葉を持たず、名前を持たない悪夢がある。(「BOOKデータベースより」)
【感想】上巻 大島さんが「想像力を欠いた」「うつろな連中」を論破する場面が印象に残った。論破と行っても理屈責めで打ち勝つわけではなく、自分のマイノリティーな部分をカミングアウトして相手を黙らせたので果たして論破というかは謎であるが。以下その連中を追い返した大島さんが言った言葉。全く納得である。寛容性を常々言っていた自分にぴったりである。
 「実にそういうことだ。でもね、田村カフカくん、これだけは覚えておいた方が良い。結局のところ、佐伯さんの幼なじみの恋人を殺してしまったのも、そういった連中なんだ。想像力を欠いた狭量さ、非寛容さ。ひとり歩きするテーゼ、空疎な用語、簒奪された理想、硬直したシステム。僕にとってほんとうに怖いのはそういうものだ。僕はそういうものを心から恐れ憎む。何が正しいか正しいくないか--もちろんそれもとても重要な問題だ。しかしそのような個別的な判断の過ちは、多くの場合、後になって訂正できなくはない。過ちを進んで認める勇気さえあれば、だいたいの場合取りかえしはつく。しかし想像力を欠いた狭量さや非寛容さは寄生虫と同じなんだ。宿主を変え、かたちを変えてどこまでもつづく。そこには救いはない。僕としては、その手のものにここには入ってきてもらいたくない」

 正直難しい、というかよくわからない。一読では無理だ、という印象。抽象的な話が続くし、登場する生物の各々が何らかの象徴を表しているような気がするが、何を表しているかはよくわからない。単なる15歳の家出物語とくくれないのは明白だ。とりあえず図書室にあった海辺のカフカ関連の新書でもよんでみるか。
【ランク】?
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011/04/20に上、

2011/04/12

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(岩崎 夏海)


【タイトル】もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
【著者名】岩崎 夏海
【発行年月日(初版)】2009年12月3日
【登場人物の年齢層】高校生
【概略】公立高校野球部のマネージャーみなみは、ふとしたことでドラッカーの経営書『マネジメント』に出会います。はじめは難しさにとまどうのですが、野球部を強くするのにドラッカーが役立つことに気付きます。みなみと親友の夕紀、そして野球部の仲間たちが、ドラッカーの教えをもとに力を合わせて甲子園を目指す青春物語。家庭、学校、会社、NPO…ひとがあつまっているすべての組織で役立つ本。(BOOKデータベースより)
【感想】父親が買ってきたのがきっかけ。


 ベストセラーになるだけあって非常に読みやすい。なんといっても物語仕立てになっているので普通のビジネス書よりもすらすら読める。また、所々原著が引用されているのも良い。


 これを読むと、自分でも活かしたいと思えて仕方がない。自分も似たような部活状況の学校に通っており、コーチもいない中選手一人一人が自発的に活動せざるを得ないからだ。その環境下で強くなるにはやはりこういった組織を管理し活かす努力が必要だなと痛感した。まずこの本を他の部員に読ませたい。


 もちろん物語自体の内容はなんとも言えないし、出来すぎ感は否めないが、これらを言うのはナンセンスだろう。正直読むまではあまり面白くないだろうなと思っていたが、予想以上に楽しめたと思う。
【ランク】6.5
【読書中メモの総覧】なし
【備考】20110410に読み終えた。

2011/04/06

肉体の悪魔(ラディゲ)


【タイトル】肉体の悪魔
【著者名】レイモン・ラディゲ
【発行年月日(初版)】1954年12月10日
【登場人物の年齢層】青年
【概略】第一次大戦下のフランス。パリの学校に通う15歳の「僕」は、ある日、19歳の美しい人妻マルトと出会う。二人は年齢の差を超えて愛し合い、マルトの新居でともに過ごすようになる。やがてマルトの妊娠が判明したことから、二人の愛は破滅に向かって進んでいく…。(bookデータベースより)
【感想】アマゾンの類似商品?の項目から。何を買った時に知ったかは忘れた。

 出来事の流れ自体は簡単なのだが、文章が固い。比喩が難解である。この印象は原文もそうなのか訳がこの印象を与えているのかは不明だが。あらすじにおいて「ダイヤモンドのように硬質で陰翳深い文体によって描く。」といってあるがまさにその通りである。決してロマンに傾倒せず、どこかクールに描いているのだ。

 どうやら著者はこれを16歳くらいに書いたそうである。もちろん前記の通り原文の印象はわからないが、このような感じだったらまったく恐ろしいモノであるが、残念ながら年若くして亡くなったそうである。


 正直読んでからそこそこ時間がたっているため印象を忘れてしまった。なんでここまで放置してしまったのだろうか。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】なし
【備考】2011年03月27日に読み終えた。

雑文集(村上春樹)★


【タイトル】雑文集
【著者名】村上春樹
【発行年月日(初版)】2011/01/30
【登場人物の年齢層】-
【概略】インタビュー、受賞の挨拶、海外版への序文、音楽論、書評、人物論、結婚式の祝電――。初収録エッセイから未発表超短編小説まで満載の、著者初の「雑文集」!
【感想】ジュンク堂で見かけて。前も本屋で見かけて買うか悩んだが、読む本が手元にないことだし買ってみた。
こういった感じで小説以外の村上春樹の文章をよんだことはなかったのでなんか新鮮だった。(まあ小説も2、3作品しか読んでないのだが)そうは言っても読んでいく文章には(当然だが)村上春樹っぽさが滲み出ていた。以下思ったこと。


・やたらカタカナ英語が使われる回数が多い……この本を読むにあたって正直辞書が手放せなかった。リヴィジョニスト
(修正主義者、こちらを参照)やアジテーター(煽動者)なんて単語をどれぐらいの日本人が知っているのか。もちろん自分の語彙力の無さのせいでもあるしまた自分が想定された読者でないかもしれない、英語でないとニュアンスが伝わらないなどあるだろうが、辞書を使う機会がちょいちょいあった。


・紹介された本に興味をそそられる…この本で出てきた小説にすごい興味がわいた。序文やら解説やらで村上春樹が寄せた文章がこの本に掲載されているのだが、その文章がまた興味を抱かせる。というか作品に加えて作者に関する話が載っていて、それを読むと「いったいこの人はどんな作品を書いたんだろう」という感じになる。


・ジャズを中心に音楽に詳しい…
村上春樹が若い頃にジャズ喫茶店をやっていたのはあとになって知ったのだが、小説家としてのイメージしかないのでこんなに詳しいことのギャップに驚いた。正直あまりに専門的でよく分からないのでちょっと読み飛ばしてしまったが、これを読むとジャズを聴いてみようかなと言う気分になってくるのは確かだ。特に「日本人にジャズは理解できているんだろうか」という章ではブランフォード・マルサリスと言う黒人ジャズ・ミュージシャンの発言からジャズの背景や歴史から黒人の抑圧の歴史を読み解いている。正直自分が完全に噛み砕いて消化できているとは言い難いが、少なくとも知識欲をそそられる文章で、ジャズが全く分からない自分でも興味深いなあと思った。



余談だが、カバーが半透明になっていてそこに字が書かれていて、見たことがない美しいデザインになっている。触り心地も良い。分厚くて読み応えもあり、買って良かったなあと思っている。
【ランク】6.5+α
【読書中メモの総覧】やたら英語が使われ読みづらいリヴィジョニストなんてどれぐらいの日本人が知っているのか
音楽にこんなに詳しいんだ
【備考】2011/04/06に読み終えた。