【タイトル】明日の話はしない
【著者名】永嶋恵美
【発行年月日(初版)】2008/10/30
【登場人物の年齢層】子供~大人
【概略】「第一話 小児病棟」のわたし…難病で何年も入退院を繰り返して人生を悲観する小学生。「第二話 一九九八年の思い出」のわたし…男に金を持ち逃げされ一文無しになったオカマのホームレス。「第三話 ルームメイト」のわたし…大学を中退してから職を転々とし、いまはスーパーのレジ打ちで糊口をしのぐ26歳の元OL。「最終話 供述調書」のわたし…郵便局を襲撃し、逮捕された実行犯。「明日の話はしないと、わたしたちは決めていた」で始まる三つの別々な話が、最終話で一つになるとき―。(「BOOK」データベースより)
【感想】「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」より。理由は前回と同様。
明日が見えず希望のない話が4つ続いている。最後の話でそれぞれの話を一つの小説に帰着させている。
この手の小説でここまで希望のないモノを読んだのは久しぶりだと思う。アマゾンのレビューに「もう少し希望を持たせてもよかった」というレビューをしている人がいたが、生半可な希望を加えて中途半端に終わる小説はいくらでもある。だったら徹底して希望を排除し絶望のみ描いたほうがオリジナリティを出せるしいいと考える。この小説は見事希望を排除している。
ただ細部でリアリティを損なっている感じもする。「ケイ」「エフ」「爆弾魔」といったチープな名前はリアリティが乏しく小説の品質を落としている印象だった。もう少し徹底してリアリティを追求すれば良かったと思う。
【ランク】6
【読書中メモの総覧】なし